カテゴリーマネジメントとは? 最適な売場づくりにつながる? 実例を交えて徹底解説!
カテゴリーマネジメントとは
カテゴリーマネジメントとは、小売業が販売する商品を、自社が設けた基準によってグルーピングし、それを一つの単位として販売促進・管理を行うことをいう。
カテゴリーマネジメントにおけるグルーピングは、単純に品目や品群などの単位で括るのではなく、消費行動や購入目的などから顧客のニーズを捉えたうえで行われる。 そのため、カテゴリーを定義する基準には、企業の戦略・ビジョンが色濃く反映される。
カテゴリーマネジメントのメリット
カテゴリーマネジメントのメリットは、顧客価値提供にフォーカスしたマーケティングが実現することにある。
カテゴリーマネジメントでは、顧客の生活シーンを想定し、ライフスタイルの充実につながるような売場づくりを行う。売場づくりが成功すれば、顧客は「この店に来て意味があった、楽しかった」というベネフィットを体感する。こうした顧客経験は、商品単体の販売促進では提供できない。
カテゴリーマネジメントの課題
カテゴリーマネジメントの課題は、実現の難しさにある。カテゴリーマネジメントは、ターゲット顧客のセグメントや消費行動のストーリーづくりが成否のカギをにぎる。ピントがずれたターゲットやストーリーを想定してしまうと、カテゴリーマネジメントのメリットを享受できない。
たとえばドラッグストアなら、「日焼け対策」「乾燥対策」「汗対策」といったキーワードを軸に、いかにストーリーを肉付けできるかという「仮説づくり」が勝負の分かれ目だ。当然、試行錯誤と経験の蓄積が必須となる。
そしてカテゴリーマネジメント展開にあたっては、スタッフがストーリーを理解し、売場に反映させ、顧客に訴求しなければいけない。当然、店舗スタッフだけでのカテゴリーマネジメント展開は難しい。スーパーバイザーを通じた、豊富な商品情報・市場動向・消費トレンドをにぎるホールセラーやメーカーの巻き込みも不可欠だ。
店舗スタッフは、発注・品出し・在庫管理などの日々の業務ルーチンに追われていることが多い。そのためカテゴリーマネジメントの割くリソースも限られてくる。
カテゴリーマネジメントの実例
カテゴリーマネジメントの実例として「花王」の取り組みについて紹介する。
「花王」は洗剤・芳香剤・ヘアケア商品を中心としたトイレタリー分野において、衣料用洗剤の「アタック」、スキンケアブランドの「Biore(ビオレ)」といったヒット商品を生み出してきた。それゆえに技術力や商品開発力、マーケティング力が注目されがちだが、そのヒットを支えてきたのは強固な販売組織だ。
従来型のメーカー営業といえば、売り込む商品のセールスポイントを訴え、競合を出し抜きつつ仕入れ条件などをバイヤーと駆け引きする……というイメージが強い。そして、得意先に売り込むまでが一般的なメーカー営業のミッションで、消費者への販売にはコミットしない。
一方、花王の販売会社である花王カスタマーマーケティング(以下:花王CMK)は、全国を北海道・東北・東京・北関東甲信越・中部・近畿・中四国・九州と8つのリージョンに分け、卸売業者を通さずに流通チャネルへの販売を提供している。
花王CMKが直販体制をとる目的の1つが、得意先を巻き込んだカテゴリーマネジメントの展開だ。花王CMKでは、営業部隊全員がカテゴリーマネジメントを習得。高い分析スキルで小売業に「最適な売場構成」を提案し、競合を圧倒しているのだ。