機械学習とは?今流行りのAIやディープラーニングとはどう意味が違う?機械学習のメリット・デメリットも解説!
機械学習とは
機械学習(Machine Learning)は、人工知能(AI)を支える技術の一つである。従来のコンピューターは、人間がルールやパターンをプログラムとして記憶させる。コンピューターはプログラムに基づいて処理を繰り返す。この法則は、白物家電に使われる極小マイクロコンピュータでも、天候予測に使われるようなスーパーコンピュータでも変わらない。給与計算・会計処理・顧客データベース管理など、大量のデータを定型ルールに基づいて処理する業務は、従来型のプログラミングが得意とする分野だ。一方で人工知能は、機械学習によってプログラムを構築する。人間が与える膨大な情報をもとに自律的な学習を繰り返しながら、自らパターンや法則を推論したうえで見つけ出す。
機械学習はニューラルネットワーク・サポートベクターマシン・テキストマイニング・協調フィルタリングなどさまざまなアルゴリズムを包含する概念であり、最近話題のディープラーニングも機械学習の1つの手法だ。機械学習は、文字・画像のパターン認識、迷惑メールのサーチ、株式市場におけるチャート予測、ネット通販におけるレコメンドといった分野での活用が有望とされている。
機械学習はルール・パターンを覚えこませる学習法の違いにより、教師つき・教師なしの2種類に分類される。教師つきでは参考とすべきデータに人間がタグをつけ、人工知能に認識させる。一方で教師なしではタグをつけない。
機械学習のメリット
機械学習のメリットは、人間では気付くのが不可能とされる高度かつ柔軟なパターン・ルールの見直しを可能とし、さまざまなイノベーションに恩恵をもたらすと期待されている。自動運転・再生医療・無人レジなど、機械学習の活用が期待される分野は多岐にわたる。(例:自動運転)
現在実用化されている自動運転は、現状レベル2(高速道路など特定条件下での自動運転モード機能)にとどまっている。技術の壁を突き破り、レベル5(完全自動運転)をめざすには機械学習の助けが欠かせないとされている。
機械学習のデメリット
機械学習のデメリットには、プラットフォーマーによる支配、ブラックボックス問題などがある。
プラットフォーマーによる支配
機械学習では、人工知能に膨大なデータを認識させなければならない。データ量が多ければ多いほど精度が上がる。つまり、よりデータの大量収集が可能なGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)のようなプラットフォーマーが圧倒的に有利なのだ。
機械学習の世界では、プラットフォーマーの優位がますます鮮明となり、寡占化が進むのではと懸念されている。
ブラックボックス問題
たとえば「アルファ碁」は、人間では思いもつかないような手筋を編み出すが、なぜその結論に至ったかは外からはわからない。機械学習では、結果を裏付ける根拠を証明できないのだ。いわゆるブラックボックス問題は、スパムメール検知・画像認識によるテロ警備への利用のハードルとなる。
機械学習の実例
機械学習の実例の実例として、医療機器メーカーとして知られるオムロン(京都府)が取り組んだ「GAFAに対抗できる機械学習モデル」について紹介する。
従来の機械学習では、異なるモデルで学習されたデータを統合させることは事実上不可能だった。統合させるにはそれぞれのモデルが有する生データレベルで統合モデルに学習させなければいけない。さらに、特に個人情報の目的外活用には、本人の許可が必要になるというハードルもある。GAFA等のプラットフォーマーに対抗するには、こうしたボトルネックの解消がカギを握る。
オムロンは、生データをいじらずに複数の機械学習モデルから統合モデルを構築する非集中学習技術「Decentralized X」を開発した。まずは製造現場における外観検査での活用がすすんでおり、今後の活用拡大が期待される。