メンバーシップホールセールクラブとは?起源は誰もが知るあの企業?!メリット、デメリットを徹底解説!

読み方:めんばーしっぷほーるせーるくらぶ
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メンバーシップホールセールクラブとは

メンバーシップホールセールクラブ(Membership Wholesale Club)とは、会員に対して、卸価格に近い低価格で商品を提供する小売業態のひとつである。また和訳では会員制倉庫型卸売小売業というところから、倉庫を意味するウェアハウス (warehouse)を冠してウエアハウスクラブと呼ぶこともある。一般にはメンバーシップという呼び方を略してホールセールクラブと呼称する例もあるが、ここではMembership Wholesale Clubの略称であるMWCと表現する。

コストコのロゴ
メンバーシップホールセールクラブ(Membership Wholesale Club)とは、会員に対して、卸価格に近い低価格で商品を提供する小売業態のひとつである。 ロイター

代表的なMWCとしては米国のコストコ(Costco)、サムズクラブ(Sam’s Club)が挙げられるが、MWCという業態を開拓したのはコストコである。1976年にプライスクラブという店名でスタート、83年にMWCの原型となる第1号倉庫店をオープンしたのが始まりである。コストコの成功を見てウォルマート(Walmart)が83年にサムズクラブをオープン、MWCへの参入を開始した。なおコストコは日本での展開が進んでいるが、サムズクラブは2021年現在で日本へは未進出である。

メンバーシップホールセールクラブの原型

MWCの原型となるコストコ1号倉庫店は、商品の低価格を実現するために店舗の建築から備品に至るまで簡素化を徹底、倉庫形体の店舗とした。店舗の床はコンクリート張り、売場ではスチール製の棚にパレットに載せたままの商品を陳列し、フォークリフトで商品を積み上げるため通路を広く取るレイアウトとしている。商品構成は、体系的な品揃えよりも回転率の高い商品を優先し、宝飾などの高額商品や生鮮食品も取り扱う。店舗の建設から商品構成、各種サービスを最小限に抑えるなど、ローコストオペレーションに徹底した店舗としている。

ビジネスモデル

MWCのビジネスモデルでは、現金決済のホールセールと言いながらも、個人の顧客も対象としているのが特徴のひとつである。いわゆる現金問屋(米国ではキャッシュアンドキャリー)では個人客は対象としないが、MWCでは個人客も取り込むメンバーシップ制を採用した新しい業態となっている。

MWCでは卸売価格を実現するため、店舗を倉庫形体にするなどのコスト削減の徹底と、仕入値が売価の9割程度となる価格設定が基本となっている。営業利益がほんど得られない運営であるが、年会費収入をほぼ営業利益とするビジネスモデルである。

メンバーシップホールセールクラブ利用のメリット

メリットのイメージ
入会の初期費用はかかるが、会員となることでさまざまな商品が格安で購入できる。

入会の初期費用はかかるが、会員となることでさまざまな商品が格安で購入できる。食品や日用雑貨など、商品の販売単位はまとめ買いとなる数量であるが、一般のスーパーマーケットに比べると単価ベースで3~4割程度安い価格で購入できる。また店舗では、食品から日用雑貨などの最寄り品、さらに家電や宝飾など買回り品まで幅広い品揃えとなっており、利便性も高い。その他にも、MWCは生活協同組合のような会員としての権利や配当など利得はないが、会員種によりキャッシュバック、クーポンなどの特典がある。

メンバーシップホールセールクラブ利用のデメリット

卸売価格でまとめ買いができるという大きなメリットはあるが、まとめ買いを必要としない家族や単身世帯にとっては必要量以上の買物となり、余分な支出となる場合がある。コストコではネット通販も行っているが、販売単位は店舗と同様にまとめ買いとなる販売単位の商品が多い。品揃えは豊富で買い物の利便性は高いが、標準的な売場面積で1万㎡もあり、大量の荷物をカートに入れての移動は人によっては大きな負担となるなどのデメリットもある。

MWCの事例としてコストコを紹介

MWCという業態を開拓したのは、上記の通り米国のコストコである。1976年にカリフォルニア州サンディエゴでMWCの原型となるプライスクラブを設立した。小規模事業者への卸売と同時に、当時は一部の職種制限はあったものの個人も会員対象としてMWCをオープンした。83年には、コストコとしてワシントン州に倉庫形体の第1号倉庫店をオープン。93年には「コストコ」と「プライスクラブ」が合併、97年にコストコカンパニーに社名変更をし、ブランドをコストコとして統一している。2021年における世界の倉庫店は817店、日本国内では30店が展開している。日本における1号店は、99年に福岡県にオープンした「久山倉庫店」である。なお今後の店舗展開のために、半径10㎞の人口が50万人以上、高所得者層マーケットが見込め企業が多い地域、店舗規模として敷地が1万坪以上確保できる土地を募集している。

店舗の品揃えは、食品・飲料・アルコール類、生鮮食品、非食品では健康美容用品や日用雑貨、電化製品・オフィス用品、衣類、宝飾・バッグ、さらにカー用品や工具まで多岐に渡っている。さらにすべての倉庫店に調剤薬局を併設している。

2022年現在のメンバーシップの種類は、ゴールドスター会員(年会費4,840円/税込)、エグゼクティブ・ゴールドスター会員(年会費9,900円/税込)、ビジネス会員(年会費 4,235円/税込)となっている。

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