オープン価格(オープンプライス)とは?希望小売価格や定価との違いやデメリットについてわかりやすく解説!
オープン価格(オープンプライス)とは
オープン価格とは、メーカーが小売価格を提示せず卸価格だけを設定する価格表示形式である。小売業者は市場の動向を見て、自由に小売価格を設定することができる。
価格表示形式には「定価」「メーカー希望価格」「オープン価格」の3種類がある。「定価」はメーカーが小売価格まで設定するもので、書籍など一部の例外を除いて現在は用いられていない。独占禁止法が禁止している「再販売価格の拘束」にあたるからだ。「メーカー希望小売価格」は、メーカーが小売店に対して「これくらいの価格で販売してほしい」と提示する希望額である。
では、拘束力のないメーカー希望小売価格とオープン価格はどう違うのか。希望小売価格を表示することが多いのは化粧品や健康食品、家電などだが、これらのメーカーは希望小売価格によって、消費者に品質や性能の水準を示すことができるとしている。例えば、化粧水には500円の商品もあれば5000円の商品もある。その水準の差を分かりやすく表すために、メーカー希望小売価格が用いられるのだ。
オープン価格のメリット
小売店にとってのオープン価格のメリットは、市場の動向を見て自由に価格を設定できることだ。品薄になっているような人気商品なら、小売店は仕入れ額に十分な利益を乗せて販売することができる。逆に在庫がだぶついている商品なら、値崩れの印象を消費者に与えずに販売価格を安くすることができる。メーカー希望小売価格があると、大幅な値下げは「不人気商品」のイメージを与えてしまいがちなのだ。
諸刃の剣だが、オープン価格は競合店よりも安い価格を自由に設定できるメリットもある。
オープン価格のデメリット
小売店にとってオープン価格のデメリットは、値引きを分かりやすくアピールできないことだ。「メーカー希望小売価格の3割引き」などの表示はできず、「当店通常価格より3割引き」「地域最安値」など一目瞭然とはいかない表現になる。店舗に対する消費者の信用がないと機能しない。
メーカーとの仕入れ価格の交渉も、単純にはいかない。「卸値をメーカー希望小売価格の60%以下にしてほしい」などのパターン化した交渉ができないからだ。
また、オープン価格は消費者の目が肥えた成熟した市場を前提にしているが、実際には消費者を迷わせたり、不安を抱かせたりする場合もある。商品AとBの価格の差が、性能の差なのか、人気度の差なのか、すぐには分からないからだ。
オープン価格の実例
オープン価格を実施する際に問題となる例を2つ見ておこう。1つは、値引きの表し方である。
「当店通常価格の〇%OFF」と表示するためには、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」であることを示す資料を用意しておかないと、不当な二重価格の表示とみなされる可能性がある。「相当期間」とは8週間が一応の基準になっている。
もう1つは、カタログに価格が記載できないという問題だ。オープン価格が普及することで、メーカーの「商品カタログ」が消費者にとって分かりにくいものになった。価格欄がすべて「オープン価格」と表示されるだけなのは、ある意味でカタログの意味をなさない。
オープン価格でカタログに価格を記載するには、販売店が独自のカタログを制作しなければならないが、中小の小売店では不可能なことが多い。このようなときにメーカーがカタログ制作を代行して、販売店の名入れ欄を設けて配布する例がある。しかしこのような行為は、実質的な再販価格の拘束にあたる可能性があり、その場合は独占禁止法に違反することになる。