リーチインケースとは?環境保護も視野に入れた、最近のショーケース事情とは?実例を交えて解説!

読み方:りーちいんけーす
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リーチインケースとは

リーチインケースとは、開閉扉のある冷蔵・冷凍用クローズ型ショーケースのことである。手を伸ばして(Reach)、中(In)の商品を取り出すことから、リーチインケースと呼ばれるようになった。

リーチインケースイメージ
リーチインケースとは、開閉扉のある冷蔵・冷凍用クローズ型ショーケースのことである。手を伸ばして(Reach)、中(In)の商品を取り出すことから、リーチインケースと呼ばれるようになった。

冷蔵・冷凍用のショーケースは、オープン型とクローズ型の2種類に大別される。オープン型は、スーパーを中心に広く普及してきた。クローズ型は、かつてはコンビニエンスストアの飲料やアイスクリームのコーナー中心に設置されていたが、最近はスーパーやドラッグストアでも見かけるようになってきた。

リーチインケースのメリット

リーチインケースのメリットは、省エネルギー性能にある。オープン型ショーケースの場合は室内空気にさらされるためケース内の冷気がどうしても逃げてしまう。その点、リーチインケースは扉で遮断されるため少ない消費電力で庫内温度を一定に保ちやすい。リーチインケースの多くは、複層ガラスを使用し間に空気の層を挟むことで断熱性能を高めている。

照明や音響設備に比べても、空気を冷やすのには圧倒的に電気を使う。一般的なスーパーの場合、店舗全体の消費電力のうち4割以上を冷凍・冷蔵用ショーケースが使用していると言われている。

メリットのイメージ
リーチインケースのメリットは、省エネルギー性能にある。

今までは、庫内外の温度差による曇りと結露がリーチーインケースの悩みのタネだった。やむを得ずガラス表面を熱するために通電していたが、どうしても電気の使用量がかさんでしまう。そこで、扉に特殊なコーティングを施すことで、無通電でも曇り・結露を防ぐタイプが開発された。

無通電タイプの消費電力は通電型の1/4とされ、無通電型が全体の半数を占めるまでになった。とくに営業時間が長いコンビニにとって、無通電タイプは強い味方だ。

リーチインケースのデメリット

リーチインケースのデメリットは、商品を取り出しにくい点および導入コスト・納期にある。まず取り出しにくさだが、扉を開ける→商品を取り出す→閉めるというアクションが入るため、生鮮食品のように来店客が商品を手に取って賞味期限や品質を頻繁に確認するような売場では使いづらい。

さらにリーチインケースは扉の分だけどうしてもオープン型より高額で、一般的には納入までに時間もかかる。ただし一定の省エネ性能基準を満たすリーチインケースは、政府主導の「エネルギー使用合理化等事業者支援事業」により補助金を受けられ、コスト負担を抑えることができる。

リーチインケースの実例

リーチインケースの実例として、食品スーパーによる温暖化防止に向けた取り組みについて紹介する。

冷凍・冷蔵用ショーケースは、リーチイン型・アイランド型のいずれも冷媒には代替フロンを使用するのが一般的だ。エコの観点からすると、代替フロンはオゾン破壊のリスクはないものの、温暖化効果がどうしても生じてしまう。

流通チャネルにおいて、冷媒に起因する環境負荷の低減は長年の課題だったが、このような背景を踏まえ最近は自然冷媒への切り替えがすすんでいる。ノンフロンの中でもCO2冷媒は、温暖化効果がゼロなうえに毒性もなく使いやすい。今までは配管からの漏洩・経時の性能低下・高圧による機器の摩耗などが問題だったが、配管圧力を下げるなどの対応により今では技術的解決が図られている。自然冷媒型冷凍機は、導入コストは高いものの、環境負荷低減以外にも安定稼働やエネルギー効率向上などのメリットも期待できるという。

コンビニ大手のローソン(東京都/竹増貞信社長)は2010年からCO2冷媒の導入を始め、現時点で約3700店の切り替えが済んでいる。食品スーパーでは、イオン(千葉県/吉田昭夫社長)が「イオン自然冷媒宣言」で、15年以降にオープンする新店はすべて自然冷媒ケースを全面採用するとしている。さらに既存の約3500店も順次自然冷媒ケースに切り替える計画だ。

先進企業がリードする形で、今後は自然冷媒型冷蔵・冷凍ケースの導入がますますすすみそうだ。

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