コールドチェーンとは?コロナワクチンにも役立った?コールドチェーンについて徹底解説!
コールドチェーンとは
コールドチェーンとは、商品を冷蔵または冷凍の状態で配送する「低温物流」の仕組みである。対象となる商品は食料品に限らず、医薬品や化学薬品など多岐にわたる。
コールドチェーンは、原材料の調達から、加工、在庫、配送、販売までのサプライチェーンの全プロセスで低温管理を行う。そのために必要なインフラが低温配送車と低温倉庫だ。
コールドチェーンの市場規模は年々拡大している。冷凍食品だけを見ても、日本冷凍食品協会によると2011年には約6300億円だった国内生産額が、2020年には約7000億円に増加している。
コールドチェーンのメリット
コールドチェーンによって、低温管理が必要な商品を低温のまま、消費者に届けることが可能になる。それによって次のようなメリットが得られる。
- 仕入れ先の拡大(遠隔地・国外で生産された生鮮食品を市場に出せる)
- 食品のバラエティが豊かになる(今まで食べられなかった食品を食べられる)
- 食品の鮮度の向上(産地の味を消費地で味わえる)
- 廃棄ロスの削減(賞味期限・消費期限の伸長)
また、日本で新型コロナウィルスのワクチン接種が迅速に進んだ要因の1つとして、ワクチンの低温輸送に必要だったコールドチェーンの発達があったことは見逃せない。
コールドチェーンのデメリット
コールドチェーンのデメリットは、サプライチェーンの全プロセスで「低温」を維持するために、コストと技術が必要なことだ。コールドチェーンには低温配送車と低温倉庫が必須だが、その設備費や維持費は常温の設備に比べて高いコストがかかる。
また、一口に低温といっても、商品によって要求される温度はさまざまである。過剰に低温にするとかえって品質を低下させることもあり、商品ごとの適切な温度の維持にはさらにコストがかかる。
季節による外気温の差も、温度管理を複雑にする要因だ。さまざまな商品の適切な温度管理には、正しい商品知識と温度管理技術が必要となる。
コールドチェーンの実例
英国の製薬会社グラクソ・スミスクラインは、医薬品を安全に輸送するコールドチェーンを確立するために次のような手順を定めて実行している。
- 製品について知る
●安定性データ(指定保存温度を超えた場合のデータも含む) - 選択可能な輸送方法について知る
●輸送経路
●輸送方法
●リスクアセスメントとリスク低減策 - 詳細事項の決定
●梱包(包装)
●適格性評価
●温度モニタリング方法
●教育
●逸脱時の対処法
医薬品の低温物流では食品以上の厳密な管理が要求されるが、まず「製品について知る」ことが重要とされているのは注目される。また、教育やリスクアセスメント、基準から逸脱したときの対処法なども詳細に定めている。
食品のコールドチェーンにおいても、関係者が正しい知識をもち、事故が起きたときの対策を立てておくことが必要だ。