注目のキーワード
  • x
  • facebook
  • rss

マッキンゼーが教える!ネットスーパー事業、マネジメントの勘所

解説・文:櫻井 康彰(McKinsey and Company パートナー)、福島 章顕(McKinsey and Companyアソシエイトパートナー)、助田 ひなの(McKinsey and Companyエンゲージメントマネージャー)
Pocket

欧米企業から学ぶネットスーパーの現実

 第1回は、今後取り組むべき変革として「デジタル・AI変革」全般を論じた。今回は、デジタル・AI変革の中でも、収益化が難関であるネットスーパーおよびデリバリー(=以下「ネットスーパー」)について論じる。

ネットスーパーイメージ
ネットスーパーはコロナ禍をきっかけにオンライン購買が拡大し、各社が参入を加速している(i-stock/ipuwadol)

 ネットスーパーは多くの小売企業において成長分野ととらえられており、コロナ禍をきっかけにオンライン購買が拡大し、イオン(千葉県)や西友(東京都)などに続き各社が参入を加速している。

 しかしグローバルを含めて収益化の厳しい事業で、ネットスーパービジネスの再編・撤退なども今後のシナリオとして起こりうる。実際、過去に事業を始めたが収益化が難しく、事業構造を見直した例は海外にも存在する。

 欧米小売のネットスーパー事業について図表❶、図表❷にまとめた。欧米のトップ小売もネットスーパーの事業では利益を大きく上げられておらず、利益がプラスマイナスゼロ(もしくは、僅かに黒字)という水準だ。

 利益率が低くとも、お客さまにとっての利便性を追求することで、お客さまの囲い込みや店舗の売上に貢献すれば「成功」として考えている。

 ネットスーパーには「オンデマンド・デリバリー」「店舗型ネットスーパー」「センター型ネットスーパー」の3つのモデルがある。投資が軽いモデルから始めて、段階的に発展させるのが主流だ。

 「オンデマンド・デリバリー」モデルは、ウーバーイーツ(Uber Eats)やインスタカート(Instacart)のような配送プラットフォームを活用する最も投資の軽いモデルである。これは、UI/UXや配送を外部委託する形態であり、生活者が店舗で購入した商品を自宅に配送するサービスも含まれる。

 そこからもう一段の投資をし、小売企業が自社ウェブサイトを運営し、店舗から配送を行うのが「店舗型ネットスーパー」モデルである。そして、最も投資の重いモデルが、英・オカド(Ocado)やイオン、楽天(東京都)のような大型の自動化センターから配送する「センター型ネットスーパー」モデルである。

 ロボット・ドローン配送や小型フルフィルメントセンターなどのコストを抜本的に変えうるテクノロジーも出てきつつあるが、まだ実証実験段階というのが実態であろう。

 下記でモデルごとの重要な点として、

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

0

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態