マッキンゼーが教える!ネットスーパー事業、マネジメントの勘所
欧米企業から学ぶネットスーパーの現実
第1回は、今後取り組むべき変革として「デジタル・AI変革」全般を論じた。今回は、デジタル・AI変革の中でも、収益化が難関であるネットスーパーおよびデリバリー(=以下「ネットスーパー」)について論じる。

ネットスーパーは多くの小売企業において成長分野ととらえられており、コロナ禍をきっかけにオンライン購買が拡大し、イオン(千葉県)や西友(東京都)などに続き各社が参入を加速している。
しかしグローバルを含めて収益化の厳しい事業で、ネットスーパービジネスの再編・撤退なども今後のシナリオとして起こりうる。実際、過去に事業を始めたが収益化が難しく、事業構造を見直した例は海外にも存在する。
欧米小売のネットスーパー事業について図表❶、図表❷にまとめた。欧米のトップ小売もネットスーパーの事業では利益を大きく上げられておらず、利益がプラスマイナスゼロ(もしくは、僅かに黒字)という水準だ。
利益率が低くとも、お客さまにとっての利便性を追求することで、お客さまの囲い込みや店舗の売上に貢献すれば「成功」として考えている。
ネットスーパーには「オンデマンド・デリバリー」「店舗型ネットスーパー」「センター型ネットスーパー」の3つのモデルがある。投資が軽いモデルから始めて、段階的に発展させるのが主流だ。
「オンデマンド・デリバリー」モデルは、ウーバーイーツ(Uber Eats)やインスタカート(Instacart)のような配送プラットフォームを活用する最も投資の軽いモデルである。これは、UI/UXや配送を外部委託する形態であり、生活者が店舗で購入した商品を自宅に配送するサービスも含まれる。
そこからもう一段の投資をし、小売企業が自社ウェブサイトを運営し、店舗から配送を行うのが「店舗型ネットスーパー」モデルである。そして、最も投資の重いモデルが、英・オカド(Ocado)やイオン、楽天(東京都)のような大型の自動化センターから配送する「センター型ネットスーパー」モデルである。
ロボット・ドローン配送や小型フルフィルメントセンターなどのコストを抜本的に変えうるテクノロジーも出てきつつあるが、まだ実証実験段階というのが実態であろう。
下記でモデルごとの重要な点として、