決済から読み解く流通争奪戦1  現金崇拝の終わりの始まり キャッシュレス比率1日で7%アップの店も

佐藤元則(NCB Lab.代表)
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中小事業者も“現金崇拝”からキャッシュレスへ

 低金利で銀行に預けておいても利子がつかない。手数料を取られるかもしれない。であれば、現金を手元に置いておこう。日本全国で金庫が売れ筋となった時代もあった。日本人は現金が大好きだ。毎日札束を眺めては、どうぞ増えますようにと拝んでいる、という人さえいる。

 だが、キャッシュレス事業者の連続アタックで、現金崇拝者の意識がジワリとキャッシュレスへ向き始めた。決済事業者のキャンペーンを利用し、さらに政府のキャッシュレス還元策に乗れば、欲しいものやサービスが格段に安く手に入るためだ。

 中小事業者の店舗でキャッシュレス決済を利用すれば、5%の還元、中小事業者がフランチャイズ展開するコンビニエンスストアでは、一律2%の還元を受けられる。増税分、あるいはそれ以上がポイントで還元される。消費者のキャッシュレスへの興味は次第に高まっている。

 中小店舗のキャッシュレス意欲も旺盛だ。消費者に5%の還元ができるというメリットは大きい。これに加えて、モバイル決済を受け付ければ、そのインセンティブも顧客に還元できる。

 政府のキャッシュレス還元対象店舗に名乗りを上げる中小事業者は引きも切らない状況だ。10月1日に間に合ったのは約50万店で、待ち状態は73万店になるという。中小事業者の意識も、現金崇拝からキャッシュレスに向かっている。

 そしてキャッシュレスの号砲が日本全国に鳴り響いた2019年10月1日。あるコンビニエンスストアでは、売上に占めるキャッシュレス比率が1日で7%も上がったという。キャッシュレス還元施策は見事当たったと言っていいだろう。

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