注目のキーワード
  • x
  • facebook
  • rss

届けるべき荷物が瞬時にわかる!? アマゾンが開発した革新的配送支援システムとは

小久保 重信(ニューズフロント記者)
Pocket

米アマゾン(Amazon.com)は、物流の最終拠点から顧客宅までのラストマイル配送を効率化する新システムを開発した。配達トラックにAIを活用した新技術を導入し、各配達地点で荷物の識別作業を約1分で済ませられるようになる。これにより、1日当たり約100軒の配達をこなすドライバーの負担を軽減できるとしている。

視覚支援型の荷物識別システムを開発

アマゾンの配達トラック用荷物識別システム「VAPR」
アマゾンの配達トラック用荷物識別システム「VAPR」 Photo by Faith Ninivaggi for Amazon

 アマゾンは今回、「ビジョン-アシステッド・パッケージ・リトリーバル(VAPR:視覚支援による荷物識別)」と呼ぶシステムを開発した。

 ドライバーが配達地点に到着すると、その地点で届けるべきすべての荷物に緑色光の「◎」マークが、それ以外には赤色光の「×」マークが照射される。これにかかる時間はわずか数秒。従来は、配達地点に停車する度に荷物を整理したり、バーコードをモバイルデバイスで読み取ったり、顧客の名前・住所を確認したりしていた。だが今後は、トラックの荷台で緑色マークの荷物を見つけ、手に取り、顧客宅に運ぶだけでよい。誤配達も防げる。

 これを実現するために、車両の天井にカメラとLEDプロジェクターを設置した。VAPRは、周囲の状況を認識・処理した後、複数のバーコードを同時検出して、それぞれの内容を読み込む。さまざまな照明条件やパッケージ形態でも荷物ラベルを認識できるよう機械学習モデルをトレーニングした。トラックに搭載の配送ルート・ナビゲーションシステムとも統合されている。VAPRは、機械学習やIoT(モノのインターネット)などのテクノロジーを車内環境で実現したものだとアマゾンは説明する。

1配送ルート当たり30分超短縮

 アマゾンは2025年初頭までに米国内でVAPRを搭載した電気自動車(EV)トラックを1000台導入する予定だ。同社には「デリバリー・サービス・パートナー(DSP)」と呼ぶ、宅配業の起業を支援するプログラムがある。VAPRの開発では、同プログラムに参加する宅配業者と協力し、数百時間におよぶ実験を実施した。その結果、ドライバーの感じる身体的及び精神的な負担が67%軽減され、1回の配送ルート当たり30分超の時間短縮に成功した。

 「世界中で39万人を超えるDSPのドライバーと、当社の配送車両10万台以上が毎日数百万個の荷物を配達する中、VAPRはドライバーの時間と労力を大幅に削減できる」と、アマゾンはその意義を強調している。

+2
1 2

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態