カギはコンテンツの「再利用」 “売れ続ける”状態をつくる新たなマーケ手法とは

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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インフルエンサーの種類と役割の違い

 前述の通り、多岐に渡るメディアで影響力を与えるコンテンツを自力で作り続けるのは、あまり現実的ではありません。

 そこで、メディアごとに消費者へアプローチするため、アーンドメディアや第三者コンテンツを活用することになるのですが、インフルエンサー・KOLKey Opinion Leaders)・KOCKey Opinion Consumers)といった『異なるタイプの第三者』が重要な役割を果たします。まずはこれら第三者の違いと、それぞれの特性について理解し、適切なアプローチを行うことが必要です。

図表4インフルエンサーの種類と役割の違い
図表4インフルエンサーの種類と役割の違い

インフルエンサー (Influencer)

インフルエンサーは、一般的に大規模なフォロワーを持ち、特定のテーマや分野で影響力を持っている個人や有名人を指します。彼らは広告主の商品やサービスを紹介し、彼らのフォロワーに対して多くの認知を得ることができます。しかし、インフルエンサーが広告を行う際には、今年10月から施行されたステマ(ステルスマーケティング)規制に準拠し、広告であることを明示する必要があります。企業として消費者に正しい情報を届け、顧客との信頼関係を築いていくことが大切です。

KOL (Key Opinion Leader)

KOLは、特定の分野やテーマにおいて専門知識を持つことから、特に信頼性の高い情報提供者です。彼らは専門家や業界関係者としての地位を築いており、その専門知識に基づいたアドバイスや意見は消費者にとって情報価値が高いコンテンツとなります。このようなKOLと提携することで、消費者は専門的な情報を得て商品やサービス理解を深めることができ、信頼性のある情報源として活用することが可能です。

KOC (Key Opinion Consumer)

KOCは、普通の消費者でありながら特定の商品やサービスに対して強い愛着や信頼を持ち、自発的にその経験や意見を発信する人々を指します。彼らの意見や体験談は、他の消費者にとって非常に信頼性が高い情報源となります。このようなKOCとの関係を築くことで、口コミやエンゲージメントを通じて広報効果を高めることが可能です。

インフルエンサーの種類と役割の違い

 一見すると消費者に影響力のある消費者として同じように見えますが、明確にその性質は異なります。曖昧にせず、しっかり理解して各メディアで発信すべき内容に合致したインフルエンサーを活用するようにしましょう。

  特にKOLKey Opinion Leaders)は、高い専門知識からアーリーアダプターとして活躍し、そのコンテンツをイ ンフルエンサーやKOCに拡散する役割も果たしてくれます。

 企業がオウンドメディアで発信した提案をKOLが受けて、第三者として消費者に情報発信を行うといった流れは、現代のマーケティングにおいて非常に重要な役割を持ちます。KOLが実際に商品やサービスを理解・評価し、分かりやすくその情報を発信してくれることで、消費者に信頼性の高い情報を提供することができるのです。

まとめ

 今後、オウンドメディアとアーンドメディアを組み合わせてマーケティング戦略を構築するためには、バラバラに展開するメディアごとに最適化されながらも統一されたメッセージを発信・管理するバランス感覚が求められます。インフルエンサーを含めた消費者との関係性を構築しながら効果的なマーケティングを展開するためには、優れたデジタル戦略の統括者と、組織全体の協力体制が必要不可欠となるでしょう。

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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