メニュー

目的、立ち位置で効果段違い!ライブコマース4つの分類と成功するための使い分け方

日本におけるライブコマースは2017年頃から始まり、WEB接客という形で新たな小売の可能性を広げていますが、いくつかのプラットフォーマーが参入と撤退を繰り返している市場でもあります。本記事では、そんなライブコマースを活用するために必要な知識として、大きく4つに分類されるライブコマース・プラットフォームの活用方法とメリットをまとめてご紹介しましょう。

MTStock Studio/istock

大きく4つに分類できる日本のライブコマース市場

 ライブコマースと一言で言っても、そのあり方と活用方法はさまざまです。

 例えば、自社ECのメーカーサイトでボタンを押すと、その中でライブコマースを始めることができるSaaS型のライブコマースツールがあります。メーカーがWEB接客の一環としてライブコマースを活用しており、店舗で案内ができない遠い場所の顧客向けにWEB接客を拡張したかたちで行われています。

 また、比較的新しいプラットフォームとしてライブコマースの専用アプリも増えてきており、弊社もPeace You Liveというライブコマースアプリを展開していますが、他にもONPAMALL・POPO・1899mallなどさまざまな企業が専用アプリを立ち上げています。

 さらにインスタライブやYouTube LiveなどSNSを活用したライブコマースや、楽天市場やauPAYマーケット、Qoo10など従来のECプラットフォーマーによるライブコマース機能も存在しています。

図表1ライブコマースの活用法

 以上のように、ツール系・専用アプリ・SNS・ECプラットフォームと大きく4つの分類に分けられるのが、現在の国内における一般的なライブコマースの形態です。

 これらのプラットフォームは、企業によって目的と利用方法が異なりますので、それぞれの活用法と、メリットを整理して把握しておくようにしましょう。

図表2ライブコマース4手法の特徴

1ライブコマースツール(SaaS型)

 HandsUpやLive kitなどに代表されるツール系のライブコマースは、ウェブサイト内にライブコマースの売り場やコーナーを自由に作成できるため、ブランドのファンに向けて自由に世界観を作り上げることが可能です。

 他のライブコマースの場合、競合に紛れる可能性もあるため、ブランディングとして活用するのであれば単体で提供できるツール系が最も適しています。ただし、集客は全て自社で行う必要があるため、元々自社のウェブサイトに多くのトラフィックやアクセスがあるか、InstagramやYouTubeで多くのフォロワーを獲得している必要があります。

 このような特徴から、ブランディングを目的として利用することが多く、コロナの影響で接客が難しくなった際に多くの企業が利用を開始しました。

 そんなライブコマースツールの課題は、業界全体にいえることですが、育成の難しい演者やライバーが不足している点で、多くの企業が同じような課題を抱えています。

2専用アプリ(専用モール型)

 専用アプリは、2020年に設立されたPeace You Liveが最もわかりやすい例です。ECプラットフォームでいう楽天市場やAmazonのように、モール型で閲覧するユーザーが集まっているため、企業は集客の心配をする必要がありません。

 専用アプリはコロナ禍に生まれたものがほとんどで、まだ立ち上がったばかりの会社が多いため、土日のみ活動しているライバーが多いアプリも多く、今は利用者も分散傾向にあります。

 Peace You Liveは専用アプリの中で唯一、平日・土日問わず朝から晩までLIVEが配信されており、お正月やお盆などの休暇時期も常に配信されているため、上記のような課題をいち早くクリアしたアプリといえるでしょう。

 基本的にはアプリ内で集客が行われるため、企業側は配信さえすれば良いというメリットがあります。


3SNSによるライブコマース

 最近はInstagramなどのアカウントを保有している企業も多いため、フォロワーに対して最も手軽にライブ配信を行うことが可能なプラットフォームです。また、フォロワーをそのままライブに招くことができるという利便性から現在最も多く利用されています。

 SNSは多くのメーカーがInstagramやYouTubeのフォロワーを持っているため、それらを活用することができます。視聴しているユーザーが多い一方で、商品を購入したいと思って視聴している人は少ないため販売に繋げるためには工夫が必要です。

 特にInstagramはアパレルやコスメ関連の投稿が多いのですが、実際にはあまり販売には結びついていないことが多いのが現状です。見て楽しむというエンタメ要素が強いため、購入を意図して視聴する人が少なく、それが課題になっています。

 ただし再生される機会が多い分、商品の知名度を高めるためには非常に適したプラットフォームと言えるでしょう。

4ECプラットフォームによるライブコマース

 日本ではかなり早くから導入されており、代表的なのは楽天市場の「楽天市場ショッピングチャンネル(旧RAKUTEN LIVE)」ですが、最近になってECプラットフォーム系のライブコマースが閉鎖されることが多く、現在も展開しているのは楽天市場の他に、auPAYマーケットの「ライブ TV」・Qoo10の「Qoo10 Live Shopping」が挙げられます。

 楽天市場は、ライブコマースを一度中断したものの2022年11月から再開、auPAYマーケットも吉本興業と共にコンテンツを開発しており、比較的ユーザーも多くついています。Qoo10はセール時の盛り上がりが大きく、そのタイミングでライブコマースも行われているようです。

 ECプラットフォームも専用アプリ同様、集客の心配がなく各プラットフォームでそのまま販売まで繋がっているため販売に繋げやすいプラットフォームと言えますが、利用者・事業者ともに増加傾向にあるものの、そもそも買い物が目的で来客されており長時間のライブを見るという人は少ないため、他のプラットフォームとはまた違った配信内容を検討する必要があるでしょう。

まずはライブコマースの目的を明確化する

図表3最適なライブコマースの見つけ方(チャート)

 ライブコマースで商品が売れるのはあくまでも最終的なゴールとして、まずはその過程での使い分け方を明確にする必要があります。

 SNSは認知がメーンとなるため、そもそもフォロワー数が数万以上などのブランドが活用するのに向いています。現状でフォロワーが少ない場合はコストをかけてインフルエンサーを活用するのも良いでしょう。

 フォロワーが獲得できない場合は、見ている人が多いところに露出する必要があるため、専用アプリが向いています。例えば地方でこだわって商品を作っているような商品力の高い企業にとっては強い味方となるでしょう。

 ツール系は集客のためにも資本力とブランド力が必要で、フォロワーが少ないと集客できないため、集客力や告知できる顧客リストを持っているか、広告で大量に告知するなど資本力が必要になります。

 これからライブコマースの活用を始めるのであれば、まずは専用アプリを使いはじめてみるのがオススメです。ECプラットフォームはすぐに大きな販売に繋がらない可能性はありますが、プラットフォームに出店していてライブコマースに未登録であればECでの売上を伸ばす目的で、補助的な使い方から始めてみるのも良いでしょう。