ネットスーパーさらなる飛躍の課題が「リアルに劣る情報量」の打開にある理由

宮川 耕平(日本食糧新聞社)
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リアルは、実物と陳列で多くの情報を提供

店舗は、商品の実物と陳列によって買い物に必要な多くの情報を提供している(画像はイメージ)
店舗は、商品の実物と陳列によって買い物に必要な多くの情報を提供している(画像はイメージ)

 オンラインで商品を販売する際には、前述のタグ情報以外にも多くのデータを掲載する必要があります。商品画像やセールスポイントはもちろん、食品ですから成分表示も欲しいところです。しかしネットスーパーでこれをしようとする場合、入力しなければならないアイテム数とその情報量は膨大になります。これらのデータをAIが自動作成してくれるサービスが存在しますが、作業の大変さを思えばニーズもあるだろうとうなずけます。

 現状、ネットスーパーの個別商品のページは成分表示が省かれていたり、チェックがままならないのか商品画像が荒かったりと、物足りないことがしばしばです。また、どれだけ頑張っても、消費期限まで確認するのは難しいでしょうし、生鮮と総菜はイメージ画像にしかなりません。

 一方、リアルの売場に商品を陳列する際、店側が付与する情報は商品名と価格くらいです。POPだって全品に付けるわけではありません。それで済むのは、陳列する場と商品パッケージが、提供すべき情報の大部分を補ってくれるからです。成分表示はパッケージの記載情報が提供してくれますし、生鮮・総菜は見た目に加え、重量感や質感、香りなどのシズル感で顧客に訴えかけてくれます。

 また、商品パッケージにはカテゴリーごとに共通するドレスコードのようなものがあります。ヨーグルト、スナック菓子、味噌でもパスタでも、同一カテゴリーのパッケージは自然と形状が似てきます。ですからカテゴリーのサインを見ていなくても、棚を眺めているうちに求めているカテゴリーにたどり着けます。

 リアルで提供できる情報量には「場の限界」が伴うものですが、実物と場が提供している情報量は、実は豊富と言えます。場の制約がないはずのオンラインの方が、リアルの情報量に追いつくことを課題としています。このギャップを埋めていけば、オンラインの利便性は一段と高まるはずです。

 

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