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オーケー二宮涼太郎社長が語る  2020年振り返りと今後の成長戦略

 首都圏で最も成長著しい食品スーパーの1つと言えるオーケー(神奈川県)。新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大を受けてその勢いをさらに加速させている。同社の近況と今後の方針について二宮涼太郎社長に聞いた。
※12月1日にオープンした「オーケー所沢店」(埼玉県所沢市)取材時の二宮社長のコメントをまとめたものです

オーケーの二宮涼太郎社長

高品質・EDLPで支持拡大
若い世代の獲得に成功

 2020年を振り返ると、コロナの影響により食品スーパーを取り巻く環境は激変しました。食品スーパーへの需要は高まり、オーケーでも売上が大きく底上げされました。そして、お客さまの買物行動も大きく変わっています。

 足元の業績については、9月は前年の増税前の駆け込み需要が大きかったこともあり、コロナ後からの傾向と比較して既存店売上高の伸び率は落ち着きました。しかし、10月は再び業界平均と比べても高い水準で業績が伸長し、11月にはさらに売上が上昇傾向にあります。

 当社は「高品質・Everyday Low Price」を掲げ、従来からエブリデー・ロープライス(EDLP)の価格政策をとっていたため、競合他社がチラシによる特売をやめるなか、変わらずEDLPでの営業を続けることができました。こうした価格政策はコロナ禍でさらに支持を得ており、若い世代を中心に新しいお客さまの獲得につながったと感じています。

DgS商材の売場を広げ
ワンストップの利便性提供

12月1日にオープンした「オーケー所沢店」

 12月1日、当社にとって埼玉県所沢市へ初出店となる「オーケー所沢店」を開店しました。これまでの店舗展開エリアより都心部から外側への出店になりますが、新しいマーケットにも挑戦したいと出店を決めました。

 初出店となるエリアでも、売場づくりや価格設定は基本的に変わりません。ただ、所沢店は売場面積が約590坪と比較的広いことから、非食品の売場を広く確保しています。コロナ禍でワンストップショッピングの需要は高まっており、ドラッグストアに立ち寄らなくても生活必需品が揃う利便性を提供します。

 これだけドラッグストア企業が業績を伸ばしているということは、食品スーパーで取り逃している需要があると思いますので、今後、大型店を中心に非食品の売場を充実させていく方針です。

所沢店では非食品の売場を広く確保している
医薬品売場も設置し、ドラッグストアに立ち寄らなくても生活必需品が揃う利便性を提供する

緩めぬ新規出店スピード
神奈川県平塚市にも進出へ

 コロナの影響を受けても、オーケーの出店政策は基本的に変わりません。20年度の新規出店数は6店にとどまりましたが、引き続き、年間10店ペースを目標に出店していきたいと考えています。

 改装については、20年はコロナ禍で地域のお客さまがお困りにならないようにすることを再優先に、一時閉店を伴う改装は見送りました。そのぶん21年には改装も進めていきます。

 次の新規出店は21年3月の予定で、こちらも初進出となる神奈川県平塚市に、売場面積約620坪の店をオープンします。このように比較的郊外でも、売上が見込めそうなエリアでは新規出店しつつ、同時に、近年強化している東京23区を含めた都心部へも積極的に出店していく方針です。

オーケーは近年強化している東京23区への出店も引き続き積極的に進める。写真は19年11月に東京都墨田区に開店した「住吉店」

宅配サービスを検討
人材獲得にも注力

 需要が高まる宅配サービスについては、カード会員さまを対象に、店頭で購入した商品を税込260円~の配送料をいただき自宅まで届ける「有料配達」サービスの実施店舗を拡大しています。現時点で、全体の約3分の1となる37店で行っています。エリアによってバラつきはありますが、実施後、利用が一気に広まっている店舗もあります。

 一方コロナ禍では、自宅にいながら商品を注文し受け取れる宅配サービスの需要がさらに顕在化しています。オーケーとしても、いずれそうしたご要望にもお応えしていきたいと思います。

 今後については、コロナ禍の売上増で得た原資を、まずは新規出店による店舗網拡大に生かしていきたい考えです。

 また現在、これまで課題となっていた人材の獲得がしやすくなっています。将来的のために今こそしっかり人手を確保するとともに、教育も強化していきます。

 これから経済環境はさらに厳しくなるでしょう。そうしたなかオーケーが強みとする「ディスカウント」は、お客さまが店を選ぶ際のより重要なポイントになると思いますので、ますます競争力に磨きをかけてまいります。