ついにベールを脱いだイオン×オカドの配送センターの中身 物流インフラの”巨大化”は吉と出るか?
巨大ゆえにリスクもはらむCFC
このCFCは、急伸するネットスーパーへのニーズに対して大きなキャパシティを確保できるという利点があるが、一方でその”巨大さ”ゆえに初期投資が膨大で、稼働まで時間を要するというデメリットもある。実際、イオンのCFCも本格稼働は2023年で、およそ3年の歳月をかけることになる。
ちなみに米国では、同様にオカド流のCFCを取り入れる予定のクローガー(Kroger)が、オカドとの提携を発表した直後に株価が急落。投資が巨額で回収期間も長いCFCの導入に関して、投資家やアナリストの見方は必ずしも好意的ではないことが露呈した。
一方で米国で注目されているのが、ウォルマート(Walmart)やアルバートソンズ(Albertsons)などが実験を進めているマイクロ・フルフィルメントセンター(MFC)だ。CFCとの大きな違いは立地とサイズで、店舗併設もしくは店舗近隣に設置され、300坪程度でも稼働する。何よりもイニシャルコストが安く、数カ月で稼働できるため、米国の業界関係者の間ではCFCよりも合理的だとみる向きもある。
もっとも、イオンはCFCに完全に依存するわけではなく、イオングループの食品スーパーや総合スーパーなどの店舗を拠点とした配送も併用する計画だ。CFCと店舗をバランスよく組み合わせながら、これまで赤字で当然とされていた向きもあるネットスーパーを、消費者にとっては利便性が高く、売り手にとっては”稼げるビジネス”に転換できるか注目される。
しかしその答えがでるのは今のところ、少なくとも3年後以降。それより前に国内ネットスーパー市場に大変革をもたらす企業も現れるかもしれない。いずれにしても、コロナ禍を経て、ネットスーパーをめぐる動きから目を離せない。