シップス、EC売上100億円へ!自社EC比率も現在の20%から倍増を目指す秘策とは
自社ECを顧客体験のハブに
コロナ禍による外出自粛や商業施設の休業・営業時間の短縮などをきっかけに、リアル店舗の売上が苦戦を続けていることもあり、前期のEC化比率は結果的に約5割に迫った。
「リアル(店舗の売上)は落ちたが、だからこそリアルならではの体験価値を顧客満足度につなげ、売上に生かすことが重要。いかにリアルとデジタルを融合させるかが事業戦略の鍵になっている」と営業本部 販売促進部の萩原千春部長は話す。
特に自社ECは顧客接点の面でも「ターゲットや顧客体験のハブになる存在としてしっかりと構築・推進する」(萩原部長)として、今後さらに強化する方針だ。
同社ECサイトのOMO(リアルとデジタルの融合)施策で特徴的なのは2020年に導入した「取り寄せ・試着サービス」だ。客がよく行くリアル店舗に欲しい商品がなくても、倉庫にさえ在庫があれば、ECサイトから希望の商品を取り寄せて、店で商品を見て、試着してから購入できるサービスである。
例えば店頭に自分に合うサイズがなかった場合でも、その場でECの仕組みを使って申し込み、店舗に商品が届いてから試着し、購入することができる。もちろん試着後に購入しないこともできる。
また商品がなくても支払いはその場で済ませ(店頭決済機能)、自宅に配送することもできる「店頭決済サービス」も実装した。店頭で決済すれば、テナントとして入居する商業施設の割引などの販促施策が適用され、商業施設のクレジットカードを使えばポイントもたまる。
ECで注文・決済し、商品は店舗で受け取れる店舗取り寄せサービスは他社でも採用している会社は多いが、決済まで含めた自由度を持たせることで、客の利便性は一気に高まる。