スマホ決済普及の中で、メルペイが単独黒字化に成功した理由と独自の価値とは

2022/08/29 05:55
    両角晴香
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    属性ではなく行動で人を信用する

    メルペイの決済画面
    メルペイの決済画面

     メルペイは、必ずしも”儲け”を第一には考えない。同社のミッションは「信用を創造して、なめらかな社会を創る」ことであり、凸凹になりがちな生活者のキャシュッフローを滑らかにすることを大切にしている。そのためメルペイの後払い決済サービス「メルペイスマート払い」の与信審査は、年収や職業といった「属性」ではなく、その人の人柄をあらわす「行動」で審査される。

     「商品が迅速に届けられたか」「スムーズに支払いが行われたか」といった取引履歴や評価データは、メルカリに蓄積されている。メルペイの世界ではその人の社会的立場のみで判断することはせず、「約束履行能力」があるかどうかで利用上限枠が決まり、期限通りに清算するほど利用上限枠が上がっていく。

     「利益を最優先にするならば、上限枠など設けず『メルペイ』をどんどん使っていただいた方が良い、とする考えもありそうだが、月の支払額が想定以上に高額でドキッとするのは誰だって嫌なこと。そこで弊社では上限金額の設定を積極的にお勧めしており、約4割の方にご利用いただいている。おかげさまで支払延滞率がかなり抑えられている」(山本代表取締役CEO)

     スマホ決済やクレジットカードができる前、目に見える現金でやりくりをしていた頃は、モノを買えば手持ちのお金が減るので「今月は使い過ぎたから給料日まで節約するか」といったキャッシュフロー運営が容易にできた。しかし、キャッシュレス化が進むにつれ、自分がいくら使ったのかの現在地を把握するのは容易ではなくなった。手軽だからと、Payサービスを使い続けた結果、ゾッとするような金額を請求されたという経験を持つ人も少ないくないだろう。

     「最近は家計簿をマメにつけている人は少数派だろうし、クレジットカードのアプリを毎日チェックしている人もあまりいない。メルカリはショッピング目的で毎日アプリを開くことで、自然と支払日や支払額を把握することができる。また、定額払いのシミュレーションを図に表して視覚的に見せるなど、使いやすさにこだわった。気づけばご自身でキャッシュフローをコントロールできていると実感いただける。『メルペイ』であれば、使いすぎてヒヤッとすることがなくなるはず」(同)

     後払い決済の「メルペイスマート払い」もメルカリならではのサービス。メルカリで不要品を売った売上金を「メルペイ」の支払いに利用することができ、支払日はユーザーが自由に設定可能だ。たとえば「給料日の翌日を支払日に設定する」「メルカリで高額商品が売れたから早めに清算を終えよう」など。このように、「メルペイ」には、使う人のリテラシーが自然と向上するような仕掛けが随所に散りばめられている。

     ちなみに参考にしたのは、海外で後払い決済サービスを展開する「アファーム(affrim)」や「クラーナ(Klarna)」。両者はBNPLbuy now pay later「今買ってあとで払う=後払い決済」)をメーン事業とし、消費者が商品を購入する際、AIが審査して分割ローンの申請や承認を行うフィンテック企業だ。AIを用いた与信を行なっている点、行動与信を採用している点がメルペイと共通している。

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