「QRコード決済サービスは一時的な流行に終わる」
という危惧を持つのは、野村総合研究所の上級コンサルタントで、この業界を知る第一人者である宮居雅宣さんだ。
周知のように、国内では、「アリペイ」「ウィーチャットペイ」といった中国勢の進出とともに、楽天やLINE、NTTドコモ、yahoo!、Origami、metaps、AnyPayなどがこぞってQRコード決済サービスをスタートさせている。
では、宮居さんの危惧はどこからくるのか?
なによりも、セキュリティ面の問題だという。
「たとえば、QRコードを写真撮影すれば同じQRコードが複製できますし、決済に使うID番号をQRコード生成アプリにテキスト入力すれば模様は違えど同じIDのQRコードが生成できます。その対策として一定時間でQRコードを変えることもされていますが、その時間内の支払いのタイミングで本人認証しなければ普通に使えてしまいます」。
便利で簡単だが、簡単に不正使用される危険があるというわけだ。
これまでカードは技術面では、「磁気カード」→「接触IC」→「非接触IC」とセキュリティが高まってきたが、QRコードになり、「磁気カード」並みのセキュリティに逆戻りしているのだそうだ。
「(新決済方法の導入に当たっては)一般的なインターフェイスの流行に左右されるのではなく、現状をしっかり分析して、自社の今後の展開戦略を勘案して決めていきたい」と宮居さんは続けている。(C)
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