「うちは堅実な会社だから、おかしくなる前に節約だな」
ユニバーサル園芸(大阪府)の森坂拓実社長は、2018年6月期の決算説明会の開始にあたってつぶやいた。
株式を上場して6年。核ビジネスとなる「グリーン事業」をベースに「小売事業」や「卸売事業」などさまざまな分野に手を伸ばしてきた。
その結果、売上は当時の約3倍に当たる73億5500万円(対前期比3.3%増)を達成。しかし、営業利益は7億8800万円(同5.0%減)、経常利益は8億800万円(同13.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億300万円(同35.4%減)と大幅な減益を強いられた。
原因ははっきりしている。
2015年に傘下に収めた米国のローリング・グリーンズ・インクの不振だ。「人材流出による売上低迷およびそれにともなう人材確保費用が増加した」(森坂社長)。
そこで2018年度の決算説明会は、東京本社(中央区日本橋箱崎町)で行うことにした。
それ以前は、東京駅前の「大和コンファレンスホール」や茅場町駅前の「東京証券会館」で開催しており、少しの羞恥を打ち消すかのように、その理由を説明したのが冒頭の言葉だ。
ただ、同社の国内事業は絶好調で減益決算にもまったくひるむ様子はない。
たとえば、「グリーン事業」の「レンタルグリーン」ビジネスは首都圏のビル建設ラッシュを受け需要が増えており、契約件数も伸びている。その拠点である6番目の支店を都内の江戸川区、大田区、杉並区、神奈川県横浜市、埼玉県戸田市に次ぎ、江東区に開設した。
また、「レンタルグリーン」ビジネスの契約者からギフトや装飾、ランドスケープなどに波及した園芸関連商品の受注にも取り組む。さらには、国内Eコマースでは先駆的な存在の園芸ネット株式会社を買収する。
「小売事業」は現在、「ガーデンセンター」の「the Farm UNIVERSAL」を2ヵ所のほか、「グリーンショップ」や「フラワーショップ」「カフェ」など合計11カ所に展開している。新規出店やM&A(合併・買収)も視野に店舗数の拡大を図る。
そして、米国では躓いた海外事業ではあるが、この6月にはミラージュグリーン社を子会社化して、シンガポールにも進出。強化に乗り出す。
同社は日本一の園芸会社を目標に毎年2ケタ成長を続け、2021年6月期には、連結売上高100億円、連結経常利益13億円をめざす。(C)