「そんなつもりでつくっているわけではない」
そう話すのは、日本チェーンストア協会の小濵裕正会長だ。2018年5月、新会長に就任した小濵氏が目下力を注いでいるのが、「軽減税率」導入に向けた財務省との調整だ。
19年10月に消費税が8%から10%に引き上げられる。軽減税率は、増税に伴う低所得者への対策として、生活必需品とされる飲食品の税率を8%に据え置くというもの。
この軽減税率の導入に際して懸念されているのが、イートインにおける飲食の取り扱いだ。現在の計画では、たとえば総菜を購入する場合、持ち帰りでは8%の税率だが、店内で食べると10%となる可能性が高いとされている。
ここ数年、スーパーマーケットを中心とした小売業は、イートインの設置に力を注いできた。売場で買った総菜をイートインで食べる、というスタイルが定着しつつあるなか、消費者に増税負担がのしかかろうとしている。「我々はそんな(税金を徴収する)つもりでイートインをつくっているわけではない。イートインは出会いの場。これからはそれを楽しみに来店される方も増えてくる」と小濵会長は熱を込める。
ただ、財務省の理解を得られる可能性は低く、イートインでの飲食の税率据え置きは厳しい見通しだという。ならば、と小濵会長は「“運用”でどうかわすか」と話す。増税まであと1年と少し。水面下でのせめぎ合いが続いている。(小野)