「潮目が変わった」
小売業の価格対応について評するのはヨシムラフードホールディングス(東京都)の吉村元久社長。大手小売業がここに来て、軒並み商品の値上げを認めてくれたからだ。
従来は、ほぼ受け入れてもらえず、たとえ損をしても工場稼動を優先させ製造した商品を納めてきた。
しかし、原料費、物流費、人件費の急激な高騰により、もはや業務改善だけではコストアップを吸収しきれない状態まで追い込まれている。実際、事業会社のひとつである楽陽食品が製造している「低価格チルドシューマイ」もチキン肉、豚の脂、小麦粉などのコスト増を受ける形で、1~2円値段を上げている。
黒田東彦日銀総裁は期限こそ削除したものの相変わらず、物価の2%増をインフレ目標に設定。ヤマトの値上げのみならず、日本社会全体がインフレに突き進んでいるようにも見える。そんななかにあっての小売業の値上げ承認。「価値ある商品は価格をアップしても評価される」と吉村社長は自社製品に自信をのぞかせる。
結局、大事なのは、インフレやデフレという経済環境云々よりも、日ごろから商品を磨きこんでおくことといえるだろう。(C)