日配品とは?どこからどこまでが日配品?食品ロス削減の鍵を握る日配品について徹底解説!
日配品とは
日配品とは、メーカーで製造され、毎日スーパーマーケット(SM)などの小売店に配送される「日持ちのしない加工食品」を指す。また、保管に冷蔵を必要とするものが多い。
デイリー食品、デイリーフーズなどと呼ばれることもあるが、これらの意味する内容は同じである。言葉の由来は、「毎日店舗に配送される加工食品」を略して日配品と呼ばれるようになったためといわれている。
日配品の枠組み
SM、ドラッグストア、コンビニエンスストア(CVS)などで幅広く取り扱われている日配品であるが、店舗により対象となる商品の枠組に多少の違いが見られる場合がある。これは厳密な定義づけがなされていないためで、店舗の売場構成の考え方による違いと見ることができる。なお、どの店舗においても共通する基本概念は、「あまり日持ちがせず、基本的に冷蔵を必要とする加工食品」という点である。
日配品の種類
一般に日配品として扱われているものに、畜肉加工食品(ハム、ソーセージなど)、水産練製品(かまぼこ、魚肉ソーセージなど)、牛乳・乳製品(マーガリン含む)、チルド食品(デザート類含む)、大豆加工食品(豆腐、納豆など)、パン、生麵、生菓子、漬物類が挙げられる。基本的に「冷蔵が必要」なものとされているが、パンや一部の生菓子、魚肉練食品の一部など、冷蔵を必ずしも必要としないものもある。
また、豆腐や納豆などの和風食品を「和日配」、パンや乳製品など洋風食品を「洋日配」と区分することもある。なお、同じ大豆加工食品でも、味噌や醤油など常温で保管しても日持ちのいい食品や、酒類やジュースなどの飲料は日配品の対象外となる。
日配品の販売期間延長のメリット
日配品は日持ちがせず、製造から賞味期限までが短い。さらに消費者が「購入してもよい」と感じる賞味期限の許容範囲もあり、小売店としては賞味期限以前に廃棄せざるを得ない現状がある。一方で、食品ロス削減推進法(2019 年 10 月施行)などを背景に食品ロスに対する社会的な関心が高まっている。
S MやCVSがメーカーと迅速に情報を共有することで販売予測の精度を向上、適正な納品量と納期のサイクルを確立し、パンや豆腐の廃棄量削減を試みる実験なども行われている。またスーパーで日配品の販売期間を賞味期限当日まで延長した実証実験では、顧客からの批判は殆どなく、食品ロスの削減と同時に売り上げも伸ばしている。
また、食品業界では賞味期間の3分の1以内の期間内で小売店に納品するいわゆる「3分の1ルール」などの慣習や、消費者の過剰な賞味期限意識などが食品ロスを生む要因のひとつとなっている。これらの実証実験は、業界の商慣習や消費者の賞味期限意識を超えることで、食品ロスを軽減できる可能性を示唆している。
日配品の販売期間延長のデメリット
日配品の販売期間を延長するためには、メリットを実現するためのシステム構築の初期費用、運営に要する費用負担が課題となる。つまり、費用を上回る収入拡大が必要である。
また小売の現場では、消費期限(安全に食べられる期限)と賞味期限(品質が変わらずに食べられる期限)の違いを消費者にはっきりと周知させる手立てが重要であり、消費者の理解が得られない場合には商品管理の信頼性を損ねる恐れがある。スーパーの実証実験でも、賞味期限を正しく認識していたのは約6割といわれている。まだ周知は十分な水準に達しているとは言えない状況である。
日配品の取り扱い実例
ここではSMの日配品売場での品揃え例と、賞味期限いっぱいまで商品の販売期間を延長したSMの実証実験の例を挙げる。
日配品のスーパーでの取り扱い例
大手SMの日配品売場の例では、複数の冷蔵ショーケースにそれぞれ「豆腐や納豆、こんにゃくや漬物」、「生麺や練物、餃子」、「牛乳や乳飲料」、「チーズ・バター・ヨーグルト・チルドスイーツ」を収める構成となっている。同店の場合は冷蔵管理品が日配品の対象となり、畜肉製品やパン、生菓子などは日配品の対象外となっている。また和日配・洋日配という区分もしていない。
なお別のSMでは、冷蔵管理品だけでなく常温管理のパン類や卵、冷凍管理の冷凍食品やアイスクリームまで日配品に組み込むケースがあり、事業者により日配品の枠組みの違いが見られる。
販売期間延長による食品ロスの防止
2018年に京都市が主導するプロジェクトとして、牛乳、ヨーグルト、かまぼこ、豆腐、パンなど日配品を対象に、賞味期限いっぱいまで商品の販売期間を延長する実証実験が行われた。
その成果は、売上数量と金額は共に約6%増加、値下げ金額率は 2.92%から2.29% に減少した。顧客の反応は、販売期間の延長を容認している人は9割、賞味期限当日までの販売を許容する人は6割となっており、店舗の鮮度イメージを損なう様子は見られなかった。なお実際の購買行動は、棚の手前に置かれている賞味期限が近い商品から取る人はまだ少ないという現状も見られた。