”缶詰博士”に聞いた、缶詰の最新トレンドと成長可能性とは?
使い勝手がよく、常温で長期保存が可能な缶詰は、添加物を抑えた商品が増えたことで、健康志向の高い消費者からも注目を集めている。こうした背景もあり、缶詰は若年層へと購買層の広がりを見せている。缶詰の最新トレンドについて、メディア出演や執筆活動で活躍する缶詰の専門家、「缶詰博士」こと黒川勇人氏に話を聞いた。
コラボ商品を中心に商品開発が進む
缶詰はその保存性の高さから、災害時の非常食や日常のストック食料として重宝されてきた。その種類は多彩で、肉や魚、野菜、果物に加え、米飯やパン、調理済みのスープなど、さまざまな商品が展開されている。
缶詰の専門家である黒川氏がメーカーにヒアリングしたところ、缶詰の主な購入層は50代以上で、若い世代は料理の素材としてツナ缶やトマト缶を使う程度にとどまっているという。こうした状況を受け、近年は新たな切り口による商品開発が進んでいる。
黒川氏は、「最近はメーカー同士や異業種とのコラボレーションが活発になっており、缶詰に関心の薄かった若年層などにもアプローチできるようになってきたのではないか」と話す。
たとえば、静岡県にある製販一体型の缶詰メーカーの清水食品は2021年4月、有名カレー店「新宿中村屋」と共同開発した鯖缶「サバカリー 本格麻辣仕立て/インドカリー仕立て」(各税込324円、以下メーカー希望小売価格)を販売している。

さらに、焼き鳥缶詰を主力商品とするホテイフーズコーポレーション(静岡県)は2025年3月、大手カレーチェーンのゴーゴーカレーグループ(石川県)と共同開発した「やきとり ゴーゴーカレー味」(税別200円)、「岩下の新生姜」で知られる岩下食品(栃木県)と共同開発した「やきとり 岩下の新生姜®入り」(同200円)などのコラボ商品を発売した。
また、健康志向の高まりを受け、近年は食塩不使用の缶詰も増加している。黒川氏は「食塩不使用の缶詰は、塩分摂取を控えたいという健康ニーズに応えるとともに、調理時に味付けを自由に調整できるため、手作り志向の消費者からも支持を集めている」と説明する。








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