脱20代偏重、より幅広い層へ!ZOZOTOWN、テレビCM刷新の成果とは

堀尾大悟
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ファッションECZOZOTOWNを運営する最大手のZOZO。そのテレビCMといえば、軽快な歌とダンスで「ZOZOWEEK」などのセールを訴求するイメージが強い。ところが、最近ではそのテレビCMのクリエイティブと訴求内容が大きく変化している。また、同時にウェブCMも積極的に展開し、ティーンや主婦層など幅広いユーザー層への訴求を強化している。そのCM戦略の大きな方向転換のねらいについて、ZOZO(千葉県/澤田宏太郎社長)マーケティング本部 プロモーション部 ディレクターの小俣裕貴氏に聞いた。

20代女性中心の利用傾向を打破し、より広い層へ訴求

テレビCM「出会える服、着てますか?」
テレビCM「出会える服、着てますか?」

 大雨が降る中、雨宿りをしている女性に、年下とみられる男性が傘を差し出す。突然のことに「大丈夫ですから!」と遠慮する女性に、男性は「服、濡れちゃうから」と言いながら傘を渡し、「素敵です!」と笑って立ち去る。その言葉を聞いた女性が「服が? それとも……」と困惑しながらつぶやくと、画面上に「出会える服、着てますか?」のコピーが映し出される――。

 2024年5月から展開しているZOZOTOWNのテレビCMでは、吉岡里帆、板垣李光人が演じる恋愛ドラマのワンシーンのような出会いのストーリーが描かれている。また、それぞれの俳優が着用しているファッションアイテムもCM上でテロップ表示される。

 ZOZOTOWN のCM戦略をリードする小俣氏は「プレポスト調査(広告キャンペーン施策を実施する前後で実施する調査)でもMF1(20~34歳の男女)からMF2(35~49歳の男女)にかけての幅広い年代にわたってクリエイティブの好意度が引き上がっている結果が出ている」と手ごたえを見せる。

 これまでZOZOTOWNでは本田翼をイメージキャラクターに起用し、印象的な歌とダンスとともに「ZOZOWEEK」や「ZOZOSALE」などのセールを告知するテレビCMを4年間展開してきた。それが一転して、ドラマ仕立てのストーリー性の強いクリエイティブへと大幅に転換したのにはどんな意図があるのだろうか。

 2004年のサービス開始以来、ファッションECのパイオニアとしてユーザーを順調に獲得してきたZOZOTOWN。しかし、ここ1年の推移を見ると年間購入者数は1,100万人台で、購入者の内訳を見ると、男女比率は女性が71%と多数を占める。平均年齢は33.3歳だが、内訳を見ると大学生を中心とした18歳くらい20代中盤メインボリューム層となっておりその後の年齢層が下がっていく傾向が見られる。

 中長期目標としてアクティブユーザー数1500万人への引き上げを目指しているZOZO。その中で、「これまでのCMコミュニケーションで獲得してきたメインボリューム層には一定の成果を上げてきた。しかしさらなるサービスの成長外的環境に左右されない安定的な収益基盤築くためには、顧客を広げていく必要性が増してきた。短期的なセール認知に加えてこれまで獲得できていなかった層への中期的なパーセプションチェンジ(ZOZOTOWNの自分ごと化)必要った」(小俣氏)との現状と向き合い、CM戦略を一から見直すことにした。

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