KT法の極意 5つのステップで真因に迫る、問題分析の技法

青木 英彦 (東京理科大学大学院教授)
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問題分析の定義と技法

 5月15日号では、合理的意思決定技法の代表である「KT法」の概要を示すとともに、4つの領域の1つ、「状況把握」を紹介した。本号では、「問題分析」の技法を詳しく紹介したい。

 問題分析(PA:Problem Analysis)は、課題の原因を究明するプロセスである。どのような課題でも、その原因(課題が発生する因果関係)を分析しない限り、根本的な解決にはつながらない。KT法は、問題分析において、「なぜ」「どうして」という漠然とした質問を用いないように促している。以下具体的にみていこう。

 KT法では、問題を明白に定義している。すなわちKT法における問題とは、「期待する成果が達成できていないのに、その原因がよくわからない状態」である。図表❶に、この定義に基づく問題の構造を図示した。

 過去の一定期間、あるべき姿、期待する成果を維持していたにもかかわらず、ある時点から現実の姿があるべき姿から乖離し、差異が生じている状態が示されている。問題分析の出発点では、この差異が、何によって、いつ起こったのか正確にはわかっていないのだが、原因を究明するには、成果の低下を引き起こした特定の「変化」を探し出すところから始めなければならない。

図表❶問題の構造

問題分析5つのステップ

 問題分析は、大きく以下の5つのステップからなる。

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記事執筆者

青木 英彦 / 東京理科大学大学院 教授

東京理科大学大学院 経営学研究科 技術経営専攻(MOT)教授。

1989年神戸大学経営学部を卒業し、野村総合研究所に勤務。野村證券インターナショナル(米国ニューヨーク市)、ゴールドマン・サックス証券、メリルリンチ日本証券、野村證券にて小売・EC担当証券アナリスト業務に従事。2020年9月より現職。1994年米国Duke大学Fuqua School of BusinessにてMBA取得。2018年神戸大学大学院経営学研究科後期課程修了、博士(経営学)。日本証券アナリスト協会検定会員、CFA協会認定証券アナリスト、日本小売業協会CIO研究会ステアリングコミッティ委員。同流通サプライチェーン政策研究会メンバー。21年12月より加藤産業株式会社社外取締役、23年6月より株式会社ワールド社外取締役

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