北海道未来学
2023年4月から7月に小樽商科大学で行われた、生活協同組合コープさっぽろによる寄付講座を書籍化。国内外の第一線で活躍する講師陣を迎え、グローバル社会からテクノロジー、起業、経営変革、マーケティング、地方再生まで、各界のトップランナーが北海道の未来創造のための指針を提示。さまざまな課題を抱える日本再生のヒントともなる必読の書です。
本書の内容
第1章 世界史的転換点に立つ日本の針路―そして北海道の未来
寺島実郎(一般財団法人 日本総合研究所 会長)
今どんな時代を生きているのか/世界史の中の北海道と小樽/ ウクライナと北海道の縁/日本の戦後復興を支えた北海道/20年で急落した日本のGDPシェア/最大の問題は危機感がないこと/微妙な日露関係/「アジアダイナミズム」を視界に入れる/「日本海物流」が北海道経済を動かす/日本の未来をつくる産業の進路
第2章 2023年に突然きた、ChatGPTの威力
長谷川秀樹(生活協同組合コープさっぽろCIO /ロケスタ株式会社CEO)
インターネットやスマホを超えるインパクト/チャットGPTで何ができるか/教えてくれるのではなく「生成」してくれる/ビジネスで活用する/「謝罪メール」を書いてもらう/「始末書」を書いてもらう/プログラミングもできる/専門知識の領域でも活用できる
第3章 ビジネスで創る新しい社会
浜田敬子(ジャーナリスト)
「課題先進国」日本の現状/日本の変革は歩みが遅すぎる/消費者の姿勢も問われている/地域を活性化する取り組み/個人の能力とリソースを社会のために使う/東日本大震災後の起業家たち/社会の課題を新事業で解決/企業に勤めながら新規事業に取り組む/自分がリーダーになって社会を変える。
第4章 IoTテクノロジーの民主化
玉川 憲(株式会社ソラコム 代表取締役社長)
インターネットの衝撃/コンピューターは「所有」から「利用」へ/AWSビフォー・アフター/携帯電話代に苦しむ大学生を救う/モノの中にあるデータをどう集めるか/IoTテクノロジーを世界中で使いやすく/自販機、自動車、ロボットなどにSIMを提供/パッションを持ち、リスクをとる
第5章 10年変革シナリオ―時間軸のトランスフォーメーションの戦略
杉田浩章(BCGシニア・アドバイザー/早稲田大学ビジネススクール 教授)
「今」と「将来」をつなぎながら組織を革新する/3つのウェイブを回す5つの要素/お金を3つの領域に配分する/未知の領域にも投資配分を行う/市場創造を仕掛けるイノベーション/企業と個人のパーパスを合わせていく/投資家が納得するシナリオを組み立てる/トランスフォーメーション戦略を展開する体制
第6章 ファミリーマートのマーケティング戦略と北海道への示唆
足立 光(株式会社ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター、チーフ・マーケティング・オフィサー)
マーケティングは「商売」そのもの/なぜファミリーマートは負けていたのか/どこに向けて何を訴求するか/定番品を強化し重点カテゴリーを定める/顧客視点でコンセプトを強化する/メッセージを伝えるための3つのメディア/ お客様の来店目的を広げる/マーケティングの観点で見た北海道の観光
第7章 No Community, No Life
山崎 亮(株式会社studio-L代表/関西学院大学建築学部 教授)
人口減少時代の「適疎」と「縮充」/ 施設の完成まで活動の練習をしてもらう/人とのつながりを生み出す仕事/門徒の減少を食い止めたいお寺/「寺カフェ」でコミュニティを活性化/ワークショップで名前やロゴを決めていく/「生活協同組合」の仕組みが見直されている
第8章 湖池屋ブランディングと北海道ブランディング
佐藤 章(株式会社湖池屋 代表取締役社長)
大きなトレンドを見て〝ゼロ〞からイチを生む/人の心を惹きつける商品かどうか/日本で初めてポテトチップスの量産化に成功した会社/組織を改革する5つの要素/イノベーションブランドをつくる/創業者の理念に新商品のヒントがあった/北海道から新たな食の価値を発信する
9章 ヤマガタデザイン
山中大介(YAMAGATA DESIGN株式会社 代表取締役社長)
いかに地方の課題を解決するか/「陸の孤島」で会社を起こす/田んぼのホテルに6万人がやって来た/教育の機会平等を実現するために/「勉強したくなる子ども」をつくる教育/ Uターン潜在層を対象にしたリクルート事業/拡大する有機農業の市場/「地方の希望であれ」のビジョンのもとで
第10章 科学技術と食文化~北海道から社会変革~
美馬のゆり(公立はこだて未来大学 教授)
日本の食卓を未来へつなぐ3つのキーワード/みんなで学び合う場をつくる/「人生100年時代」とAI/「和食資産」の価値をいかに継承していくか/生成AIの3つの社会的影響/いよいよAIの時代が身近に始まった
第11章 フィンランドにおける協同組合の役割と重要性
パイヴィ・アンティコスキ(Sグループフィンランド最高メディア責任者、上級副社長)
フィンランドはヨーロッパの中の日本/19の地域協同組合で構成された企業グループ/「あなたの1日1日を特別な味わいにする」/毎月10日にボーナスを支給/持続可能性を追求する/積極的にロビー活動を行う/消費電力すべてを再生エネルギーでまかなう/健康的な食事への意識が賢明な消費活動につながる
特別講座〈対談〉コープさっぽろの人材とDX推進
入山章栄(早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授)×大見英明(生活協同組合コープさっぽろ 理事長)
書籍情報
監修 国立大学法人北海道国立大学機講 小樽商科大学 コープさっぽろ寄付講座運営委員会
発行日 2024年4月23日
価格 1980円(1800円+税)
ページ数 292ページ
ISBN 978-4478090893