「トリプルメディア」の近未来 オウンドメディア活用の重要性と役割

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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前回の記事で、トリプルメディアの役割とその変化についてご紹介しました。今回の記事では重要度の増しているオウンドメディアの活用方法と、そのオウンドメディアを活かすために必要なトリプルメディア活用についてさらに掘り下げてご紹介します(本稿は全4回からなる「トリプルメディアの近未来」の第2回です)。

オウンドメディアの活用に必要な
トリプルメディアの関係性

オウンドメディアを活用するためには、混同しがちなアーンドメディアをいかに活用できるかがまずは重要で、それぞれの役割と目的をしっかりと分けて考える必要があります。

分かりやすい例として、家具・インテリア市場を見てみましょう。現在Instagramには、プロ・アマ問わず大量の家具・インテリア関連情報が出回っています。仮に、その状態で企業側が運営する公式Instagram上で、自社商品を活用したインテリア例などの情報を発信しても、大量に流れる情報の中で埋もれてしまい、コストの割に大きな効果を期待することはできないでしょう。

良質な情報が出回っていないSNSの草創期であれば、公式アカウント自ら情報発信する必要がありましたが、家具・インテリア業界においてはすでにアーンドメディアに任せるべき分野に変化しているのです。

ではオウンドメディア側は何を発信すべきなのでしょうか。結論から言えば、オウンドメディアの役割は、『提案』と『対話』です。

オウンドメディアの成功例として、ニトリの事例を挙げて考えてみましょう。

ニトリでは、夏の間『Nクール』という商品を通して「涼しく眠るための提案」を行っています。オウンドメディアは商品理解に特化したメディアなので、商品の外見や使い勝手など、インフルエンサーに委ねることが難しいようなより深い情報を提供する役割を担うことができます。

さらに、オウンドメディアは公式メディアであるため、一般ユーザーが投稿したコンテンツに反応したり、リポストしたりするなどコミュニケーションを図る手段としても活用できます。ニトリの場合、このようなユーザーとの対話を通じて感謝を伝えたり、動画であればユーザーより許諾を得て切り取り動画を再掲載しつつ、ユーザーとコミュニケーションを行うなど、まさに提案と対話の役割を担うことでオウンドメディアを充実させています。

そして、これらの提案がハマれば、インフルエンサーや一般ユーザーがより広範に商品を紹介してくれるため、アーンドメディアの拡散する役割が機能し始めます。

小売側が「この商品は良いですよ」といくら発信しても、ユーザーが身構えてしまうため見向きもされませんが、ユーザー側が作成する口コミ的なコンテンツであれば信頼感も増し、より高い効果を期待することができるのです。

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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