九州のドラモリが、東北フード&ドラッグ市場のダークホースになりえる理由
九州地方を中心にドラッグストア(DgS)を展開するドラッグストアモリ(福岡県/森竜馬社長)。同社は飛び地的に宮城県にも店舗網を有し、一部店舗では生鮮をほぼフルラインで扱うなどフード&ドラッグ色を濃くしている。知られざる「東北のドラモリ」のフード&ドラッグMDを解剖する。
生鮮をほぼフルで扱う店舗も
ドラッグストアモリは1983年に福岡市で薬局として創業、90年代半ばにDgSの出店を開始し、九州一円で店舗網を拡大していった。2000年代後半から沖縄県、愛媛県、山口県など九州外にも進出、23年3月期の売上高は対前年同期比9.6%増の1822億円と成長基調にある(本誌2023年9月15日号特集「日本の小売業1000社ランキング2023」より)。
同社はM&A(合併・買収)にも積極的で、親会社で持株会社のナチュラルホールディングス(福岡県/森信社長)が17年に同業のザグザグ(岡山県/森信社長)を傘下に収めた。さらに19年には宮城県のローカルDgSであるくすりのベルの全株式を取得したのを契機に、東北地方にも進出している。
本稿で注目したいのは、この宮城県内のドラッグストアモリの店舗である。詳しくは後述するが、同社の存在が今後、東北のフード&ドラッグ市場、ひいてはDgS市場全体に少なくない影響を与える可能性があるためだ。
ドラッグストアモリはもともと食品強化型のフォーマットを強みとしており、九州や中四国においても多くの店舗で青果、精肉を扱うほか、一部店舗では切り身やシーフードミックスなど「冷凍鮮魚」を揃え、生鮮をほぼフルラインで展開している。宮城県においても同様のフォーマットでゆるやかに店舗網を増やしており、現在県内に10店舗を展開。9店舗で青果と精肉を販売しており、そのうち5店舗は冷凍鮮魚も扱う生鮮フルライン型フォーマットとなっている。
「東北のドラモリ」の売場づくりや商品政策(MD)を分析するべく、今回調査に訪れたのは「ドラッグストアモリ明石南店」(以下、明石南店)と「ドラッグストアモリ七北田店」(以下、七北田店)の2店舗。いずれも仙台市北部の泉区に位置し、戸建て中心の住宅街に所在する。このうち明石南店はドラッグストアモリが東北第1号店として20年8月にオープンした店舗で、青果、精肉、冷凍鮮魚を扱う生鮮フルライン型、七北田店は21年8月開業で、生鮮は青果と精肉のみを扱っている。
「DgSとしての生鮮」を追求した生鮮MD
食品の品揃え