Z世代とコラボし手帳デジタル時代にヒット連発!OEM主業 老舗メーカーのアジャイル開発とは
日本能率協会の理事だった大野巌が1949年に「時間目盛り」が付いた手帳を開発したのが、日本におけるビジネス手帳の誕生とされている。以来、手帳はビジネスパーソン必携のツールとして定着しているが、近年ではスマートフォンを筆頭とするデジタルデバイスの普及もあって「手帳離れ」が進みつつある。
そんな中、若い世代を中心にひそかな人気を集める手帳ブランドが「ユメキロック」だ。月間と週間が二つに分かれた手帳や、ハンカチのように折りたためる手帳など、大手には見られない独創的な商品を次々にリリース。高校生・大学生など次世代の若者とも積極的にコラボを展開し、歴史の古い手帳業界に新風を吹き込んでいる。
そのユメキロックを展開するのは、創業1937年の手帳メーカー・伊藤手帳(愛知県)だ。老舗の手帳メーカーがなぜユニークな手帳を次々に生み出せるのか。代表取締役社長の伊藤亮仁氏に聞いた。
創業95年の老舗手帳メーカーがヒットを連発!
手帳を開くと、上段に月間ページ、下段に週間ページと上下2段に分かれ、独立してページをめくることができる、オールインワンタイプの「セパレートダイアリー」。伊藤手帳のオリジナルブランド「ユメキロック」の一番人気で、年間1万冊の販売数を誇る。
もう一つ、ユメキロックのヒット商品が「折りたためる手帳」の「TETEFU(テテフ)」。A5サイズの手帳をハンカチのように小さく四つ折りにし、スマートフォン並みのA6サイズで気軽に持ち運ぶことができる。
他にも1日を15分単位で見える化する「WISELY」、書いて気持ちを盛り上げる「GOGO手帳」、DIY感覚で自由にカスタマイズできる「コウシ手帳」……ユメキロックのECサイトには、大手手帳ブランドではおよそ見かけない、数々のユニークなオリジナル手帳が並ぶ。これだけ豊富なラインナップがあると、誰でも「これ、自分のためにある手帳かも?」と思えるようなお気に入りの一冊に出会えそうだ。
「ユメキロック」を展開する伊藤手帳は、愛知県名古屋市に本社をかまえる、手帳のOEM製造を主業とするメーカーだ。
創業は戦前の1937年。頑強な糸かがり製法に代表される品質の高さが多くの企業に支持され、有名手帳ブランドのOEM製造を手掛けるほか、企業の社員手帳や学校の生徒手帳の製造も請け負う。日本の手帳文化を下支えしていると言っても過言ではない実力メーカーだ。