入国審査
サッカー日本代表が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の入国手続きに4時間かかったというニュースがあった。
「怪しからん」というのがスポーツ紙やTVショーの論調だ。
でも、そうかな、と思う。
国交のない国の人間を入国させるには、十分に時間をかけてしっかりと調査する必要があると考えるからだ。
逆のケースを想像してみてはどうか?
悪のテロ組織とみられる国家で国交を断絶しているA国からスポーツ競技のナショナルチームが来日するのであれば、その入国手続きには、万全を期するのではないか?
スポーツ選手の中に紛れ込み、覚せい剤、銃刀、爆発物、劇薬、受け入れざる思想…持ち込む可能性があるかもしれない。
そして、北朝鮮は、日本をそう見ているのだから、仕方ない。
「国交がない」というのは、そういうことである。自国に害が及ばぬように厳しい入国審査をすることは当たり前だろう。
それを、「怪しからん」とまことしやかに報道するから、北朝鮮のイメージは、実情以上に悪いものとして、日本国民に刷り込まれていく。
北朝鮮は、この試合で日本円を稼ぐ千載一遇のチャンスだったというのに、商機さえ無視する国なのである。
価値観がまったく異なる国に“日本の常識”や“日本の考え”を押しつけること自体がナンセンスである。
もちろん、外交上は、拉致問題、ミサイル発射、核問題など北朝鮮に、説明してもらわなければいけないことはたくさんあり、私たちからの視点からは「悪の枢軸」のように見えてしまうことも確かだ。
けれども、センセーショナルな表層だけを見て、変なイメージを刷り込み、ハナから敵対視していては、北朝鮮との会話の端緒もつかめないというものだろう。
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは