Facebookの仮想通貨は決済のすべてを変えてしまうのか?

野村光(キカクカ)
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世界的SNS企業である米Facebook(フェイスブック)が、かねてより開発を進めてきた自社暗号資産(仮想通貨)プラットフォーム「Libra(リブラ)」を発表した。2020年までに、Facebookアプリなどで利用できる新サービス開始するという同社。決済市場を塗り替えてしまうほどのポテンシャルを秘めると言われる「Libra」とは一体何か。その全貌と、小売市場に及ぼす影響力について解説する。

Facebookの仮想通貨「Libra」とは?

 Facebookは2019年6月18日、独自開発のブロックチェーン・プラットフォーム「Libra(リブラ)」をリリースし、2020年までに同名の暗号資産(仮想通貨)「Libra」を発行すると発表した。
 これと同時にFacebookはウォレットアプリ(デジタルウォレット)として「calibra(カリブラ)」を公開。ユーザーはこのウォレットアプリを通じて暗号資産「Libra」の購入および入出金ができるようになる。Facebookは、このLibraによってスピーディかつ便利な支払いや送金サービスを実現しようとしている。
 満を持しての決済市場参入となったFacebookだが、「コミュニケーションサービス系のプラットフォーマーの決済参入」という点では、LINEやWeChatなどが先行しており、Facebookは後発であるとも言える。
 ただ、Facebookが持つポテンシャルは絶大だ。同社は世界27億人が利用するSNS「Facebook」のほか、コスメ・ファッションECで強い影響力を持つ「Instagram(インスタグラム)」を擁しており、米デジタル広告市場シェアでは22%を占める規模となっている。

世界的SNS企業であるFacebookによるブロックチェーンサービス参入に衝撃が走っている

パートナーシップ企業には錚々たる顔ぶれ

 Libraの立ち上げに際しては、eBay(EC)、Booking Holdings(旅行)、Uber(交通)、Spotify(エンターテイメント)、vodafone(通信)、VISAやMasterCard(金融)など、錚々たる顔ぶれの大手プラットフォーマーとのパートナーシップを発表している。これは、Libraによって広告・サービス・決済をシームレスに連携させ、1つのエコシステムを形成するのがねらいだ。
 このパートナーシップによってどのようなことが可能になるのか。たとえば、これらの巨大企業がFacebookが広告を掲載する。すると、その広告を見たユーザーが、Facebookを通じて各社のサービスを利用し、Libraを支払う。このユーザーが支払ったLibraの一部が、広告費として自動的にFacebookに支払われる、という仕組みだ。米国企業が日本のユーザーに向けて自社サービスの広告を配信し、それを利用したユーザーがLibraで対価を払う、といったことも可能になる。
 FacebookはLibraという単一の暗号資産を介すことで、自社プラットフォーム内において、換金レートを気にする必要がないうえ、送金手数料が極めて安価な決済システムを提供できるようになる。その結果、Facebookと広告主、そして一般ユーザーの三者がwin-winとなる、新たなエコシステムを形成されるのである。
 今回、Libraにおけるパートナーシップを結んだ企業は、各企業の市場を左右する大企業である。その影響が全世界に波及するのは間違いなさそうだ。

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リアル店舗におけるLibraの可能性

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