Facebookの仮想通貨は決済のすべてを変えてしまうのか?
「Libra」によるリアル店舗決済は普及するか?
では、Libraがリアル店舗を含めた決済市場に影響を与える可能性はどうだろうか。
「正式に運用されれば」という観点で論じるなら、Libraは爆発的に普及する可能性を秘めている。わかりやすい例が、「LINE Pay」や「WeChatPay」だ。これらの決済サービスは、コミュニケーションアプリから決済市場へと参入し、一定の成功を収めている。また、「EC決済からリアル店舗決済への参入」という観点で見ると、「楽天ペイ」「メルペイ」が先行している。PayPayが今年6月からオンライン決済で利用可能となるなど、リアル店舗決済からEC決済に展開していく逆パターンもある。
このように、ECとリアル店舗における決済システムの統合では、すでに多数の成功例がある。マーケティング面、技術面で考えてみても、Facebook発の決済サービスがリアル店舗に進出できない理由はないだろう。
インバウンド向けキャッシュレス決済として可能性あり?
日本でのLibra普及について考えてみよう。インバウンドの消費が力強い日本国内においては、訪日客に向けたキャッシュレス決済サービスとして普及する可能性が高そうだ。
現在、訪日中国人の多くが利用する「アリペイ」の国内利用店舗は数十万カ所という規模にまで拡大している。その一方で、欧米や中東からの旅行者にはアリペイのようなサービスはなく、決済手段はクレジットカードに限定されている。Libraによる決済が登場すれば、こうした「中華圏以外」の旅行者に対して、より便利な決済手段を提供することが可能になる。
このように、FacebookのLibraは世界の決済市場に風穴をあける可能性を秘めている。たが現実的には、同サービスのリリースには数々の巨大な壁が立ちはだかっている。次回の記事では、同サービスが超えるべき壁について、詳しく解説したい。(次回に続く)。