「段ボール箱の処分」問題に見た、アマゾンのカスタマーファーストの姿勢

2022/12/13 05:55
    千田 直哉 (編集局 局長)
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    ECの発展と定着により、我が家にも数多くの段ボール箱が日々届けられるようになった。ブラックフライデーセール真っただ中の11月下旬などは、その量が倍増している。それに伴って、困っているのが段ボールの荷解き作業である。

    Rawf8/iStock

    アマゾンの箱に見られた小さなイノベーション

     ご存知のように、段ボール箱は、上面をガムテープか透明の幅の広いテープで留めている。このテープがなかなか厄介で、剥がすのに一苦労を強いられる。

     テープの端を爪でひっかいて起こすことが第一手段。それでも剥がれない場合には、上面にぺったりと密着するテープをはさみやカッターナイフなどで突き刺し、穴を開け、起点をつくり、そこから段ボール箱を開けるという戦術をとっていた。

     段ボールが届くたびに「何とかならぬものか」と憂鬱にさせられたものだが、数年前からアマゾンの段ボールには、イノベーションのメスが入った。

     もちろんアマゾンの段ボールも、テープは上面から側面まで貼られている。違うのは、テープが延びる側面におにぎり型のミシン目を付け、★印を印刷。「ここを押すとテープがはがせます」と書いてあることだ。

     この指示にしたがって、さっそく押してみると、あっという間にテープをはがすことができ、ストレスのない開梱が可能になった。

     改めて、アマゾンの段ボール箱をためつすがめつ眺めてみれば、底面の内側には、台紙を固定するための接着剤がついている。また、側面下部には、QRコードが印刷されており、梱包状態についての意見を投稿できるようになっている。

     「何をいまさら、そんなことは知っている」とおっしゃる方も少なくないかもしれないけれども、段ボールひとつとっても、手を抜かずに小さなイノベーションを繰り返し、カスタマーエクスペリエンス(顧客経験)の向上に努めているアマゾンの姿勢はお見事の一言に尽きる。

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    記事執筆者

    千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

    東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
    ※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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