AIレコメンドがマーケティングを変える?トライアルのスマートショッピングカートの新機能

永田 洋幸 (Retail AI 代表取締役社長)
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前回に続き、今回もトライアルの「スマートショッピングカート」の機能について解説します。ロス対策やAIレコメンドなど、新世代カートに搭載した機能がリアル店舗内でのコミュニケーションを大きく変えていくことを説明していきます。

スキャン漏れ検知機能を搭載

 まず、最近リリースしたスマートショッピングカートの新型モデルにおける取り組みを紹介します。当社はこれまでのリアル店舗で集積した知見をあわせて、新世代カート開発に継続的に取り組んでおりました。20223月より「スーパーセンタートライアル田川店」(福岡県田川市)で新世代カート140台を本格的に稼働開始しています。また、同じタイミングで開催された「リテールテックJAPAN2022」(22314日)にも展示しました。

田川店で導入したスマートショッピングカートの新モデル
田川店で導入したスマートショッピングカートの新モデル

 従来のモデルは通常の鉄製ショッピングカートにタブレットやバッテリー等の機器を搭載していたのに対して、今回稼働を開始した新世代カートはスマートショッピングカートとして専用設計されました。従来機種と比較して2割以上の軽量化を実現し、買物客がより使いやすく、店舗スタッフのオペレーション負荷も大きく軽減することができました。

 とくに強化したのはロス対策です。スマートショッピングカートに限らず、セルフレジなどの無人決済ソリューションを店舗に導入すると、お客さまの利便性向上や店舗オペレーションの効率化が進む一方で、万引きやスキャン忘れに起因するロスが増加することが業界共通の課題となっています。その課題解決のため、新世代モデルではスキャン漏れ検知機能が実装されています。今後はこの新型カートをトライアルグループの複数店舗で稼働させ、ロス削減の効果を詳細に検証していく予定です。

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記事執筆者

永田 洋幸 / Retail AI 代表取締役社長

1982年福岡生まれ。米コロラド州立大学を経て、2009年中国・北京にてリテール企業向けコンサルティング会社、2011年米シリコンバレーにてビッグデータ分析会社を起業。2015年にトライアルホールディングスのコーポレートベンチャーに従事し、シード投資や経営支援を実施。2017年より国立大学法人九州大学工学部非常勤講師。2018年に株式会社Retail AIを設立し、現職就任。2020年よりトライアルホールディングス役員を兼任。

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