ファッションEC独走のZOZO コスメ領域でも急拡大できる「強さの源流」とは
日本最大級のファッションECサイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するZOZO(千葉県)の22年3月期決算は2桁増収2桁増益と好調をキープ。オープンからわずか1年のZOZOCOSME(ゾゾコスメ)も急拡大しており、新たな成長源として期待が高まる。ZOZOの戦略と他のECやリアル店舗にはない“独自の強み”を明らかにした上で、今後の展望をまとめた。
年間購入者数をさらに伸ばし1041万人に
ZOZOの22年3月期決算は、売上高1661億9900万円(対前期比12.8%増)、営業利益496億5600万円(同12.5%増)、経常利益496億5500万円(同11.9%増)、親会社に帰属する当期利益344億9200万円(同11.5%増)だった。親会社のZホールディングスが運営するECモール「ペイペイモール」内「ゾゾタウン」が全体の伸びを牽引した形だ。
コロナ禍で、総じて低調なアパレル業界にあって、ファッションECで圧倒的な存在感で躍動する「ゾゾタウン」が堅調ぶりを示した。「ペイペイモール」を除く「ゾゾタウン」事業は対前期比7.6%増の1229億7600万円。過去1年間の購入者数は、第3四半期末(21年12月末)に突破した1000万人から22年3月末もさらに伸ばし、1041万人となった。
澤田宏太郎社長CEOは、「全体としては少し低く見えるかもしれないがEC事業者として、本丸のゾゾタウン、ペイペイモールは力強く成長していることを数字でも示せた。人流のあるなしの影響を我々はあまり受けない。消費者の意識は変わってきている」と見解を述べた。
その上で、「『ファッションを購入するときに思い浮かぶ場所/店舗は?』という第一想起の調査で、ゾゾタウンがEC全般ではナンバーワンになった」と明かし、ファッションECとしてゾゾタウンの認知度がさらに高まっていることに胸を張った。
ファッションECを牽引するゾゾタウンの強さの「源流」
アパレル業界で加速するデジタルシフト。各社が投資額を増大させ、さまざまな施策で大転換を模索する中で、ゾゾタウンはなぜこの領域を牽引し続けられるのか…。その解を突き詰めれば、自ずと創業者で現在もファウンダーとして関わる前澤友作氏の思想にたどり着く。
本業のミュージシャンの傍ら、趣味の輸入レコード・CDのカタログ販売を自宅で始めたのをきっかけに、アパレルにも進出し、巨万の富を手にする大成功を納めた前澤氏。お金儲けのセンスは少年時代から発揮されていたが、決して儲け主義のビジネスマンではない。
同氏の商売の原動力は「自分が好きなものをより多くの人に届けたい」という商材への深い愛情だ。このピュアな想いを実現するために、常識にとらわれず、奇抜で大胆にも思える施策を次々と打ち続けた。ITは同氏にとって、それらを具現化し、強力に推進するツールとしてうってつけだったに過ぎない。
大きな話題を集めた「ZOZOSUIT」や「ZOZOMAT」は、ファッションを楽しんでもらうためのボトルネックだった寸法の計測を最小化するため。ファッションコーディネイトアプリの「WEAR」は、自分の体型に近い人や憧れの人の服装を真似したいという欲求を手軽に具現化するために開発された。