機能性表示食品とは?トクホや栄養機能食品とは何が違う?メリット・デメリットも解説!

読み方:きのうせいひょうじしょくひん
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機能性表示食品とは

機能性表示食品とは、国の機能性表示食品制度に基づいて届出がされた健康食品である。「人の健康の維持や増進などに役立つ効果」があると表示ができる食品は保健機能食品だけであり、機能性表示食品はそのひとつである。なお機能性表示食品には、生鮮食品、サプリメント形状の加工食品、その他の加工食品と3つの商品形態がある。

機能性表示食品とは、国の機能性表示食品制度に基づいて届出がされた健康食品である。 i-stock /VlaDee

いわゆる健康食品と保健機能食品

通販や店頭などで様々な健康食品が販売されているが、健康食品全体を表す公的な定義はない。公的な立場で健康食品を論じる場合には、内閣府の健康食品ワーキンググループや厚労省のホームページでは「いわゆる健康食品」と表現する例が見られる。なお保健機能食品には、ここで対象としている機能性表示食品、「トクホ」と呼ばれる特定保健用食品、栄養機能食品の3つがある。

機能性表示食品制度の概要

機能性表示食品は、それぞれの食品が持つ健康維持と増進に役立つ機能を、消費者に分かりやすく表示するために2015年に制度化された。それまでも機能性を表示することができるトクホと栄養機能食品はあったが、機能性をより分かりやすく、機能性を持つ食品の選択肢を増やすことを目的として設けられた。

なお機能性表示食品の販売手続きは、国が定めた書類を消費者庁長官に届出るだけである。必要な書類の種類には、事業者が自らの責任で国が定めるルールに基づいた食品の「安全性の評価」と「機能性の評価」、科学的根拠、生産・製造、品質管理の体制、健康被害の情報収集体制に関する事項がある。

機能性の表現

機能性表示食品で認められている表現例は次の通り。

  1. 容易に測定ができる体調の指標(体重、血圧、体脂肪など)の維持や改善に役立つ表現としては、「血糖値の上昇を抑える」、「脂肪の吸収をおだやかにする」など。
  2. 身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適するまたは改善に役立つなどの表現としては、「目の疲労回復」、「糖の吸収を抑える」など。
  3. 身体状態を本人が自覚でき、一時的な体調の変化(継続的、慢性的ないもの)の改善に役立つなどの表現としては、「一時的なストレスの軽減」、「一時的な疲労感の緩和」など。

なお、病気の予防や治療効果を暗示、健康の維持及び増進の範囲を超えた表現、科学的根拠に基づいていないなど表現は認められていないので注意が必要である。

メリット

メリットのイメージ
機能性表示食品は、その提供者と利用者にそれぞれメリットがある。

機能性表示食品は、その提供者と利用者にそれぞれメリットがある。

  1. 提供者にとってのメリット
    機能性表示食品は、消費者庁に届け出た食品として消費者に安心と信頼感を与え、付加価値をアピールできる。また機能性表示食品は、国の書類審査が厳しく参入障壁が高い。そのため参入企業が制約され、他社の同種商品と競合する可能性が低い。
  2. 利用者にとってのメリット
    機能性表示食品は、具体的な健康増進の機能が表示されているため、自身の目的に合った食品の選択が容易である。一般食品、トクホや栄養機能食品との比較検討もしやすく、消費者にとって選択肢の広がりが大きなメリットとなる。

デメリット

機能性表示食品は、その提供者と利用者にそれぞれデメリットがある。

  1. 提供者にとってのデメリット
    提供者にとっては、届出のための準備時間と費用が必要となる。その時間と費用に見合うだけの売上を得られるかどうか、事業運営上のリスクがある。また表示した機能の効果には個人差があり、効果に納得できない顧客とのトラブルの可能性も懸念される。機能性表示食品は信頼性が重要なポイントとなるだけに、品質管理と同時に健康被害の情報収集体制などリスク管理の整備も事業運営上の負担となる。
  2. 利用者にとってのデメリット
    機能性表示食品は、健康維持と増進を目的としており効果に個人差が見られる。消費者庁のデータベース(機能性表示食品の届出情報検索)で詳細を確認し、自身の購入目的を事前にきちんと確認した上での購入が望ましい。

現在販売中の機能性表示食品の例

2015年に制度がスタートして4898件が登録されているが、現在販売されている機能性表示食品は2206件(2021年12月現在)である。その内訳は生鮮食品73件、サプリメント形状の加工食品1237件、その他の加工食品は896件となっている。ここでは、現在の市販商品で、各商品形態の中でもっとも早く届出された機能性表示食品を紹介する。

生鮮食品では2016年6月に届出された太子食品工業(青森県)「小大豆もやし(骨の成分の維持に役立つ機能を持つ大豆イソフラボンを含む)」、サプリメント形状の加工食品では2015年4月に届出のキユーピー(東京都)「ヒアロモイスチャー240(ヒアルロン酸Naが肌の水分保持、乾燥を緩和)」、その他の加工食品では2015年4月に届出のキリンビール(東京都)「パーフェクトフリー(食物繊維が食後の血中中性脂肪や血糖値の上昇をおだやかにする)」となっている。

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