小売業顧客データ活用の最前線
自社データを活用して顧客体験価値(CX)を最大化する戦略とは

2021/12/22 21:55
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    小売業顧客データ活用の最前線  自社データを活用して顧客体験価値(CX)を最大化する戦略とは
    小泉 潤一 氏

    Tealium Japan株式会社
    セールスディレクター
    小泉 潤一 氏

     

    様々な接点をつないだシームレスな顧客体験を提供

    Tealium(以下、ティーリアム)は2008年に米サンディエゴで創業し、11年にエンタープライズタグマネジメント「Tealium IQ️ Tag Management」、14年からリアルタイムCDP(カスタマーデータプラットフォーム)、「AudienceStream」の提供を開始。米国ではユーザー評価で高い評価を得ており、世界で1000社以上の導入実績がある。日本には15年秋に進出した。

    小売業界はものが売れない時代に直面している。長らく続くデフレの影響、モノ消費からコト消費への変化、節約志向、シェアリングエコノミーやサブスクリプションなどネットを介した新しいサービスに象徴されるように消費者の意識が変化している。小売業は新しい価値を提供する必要に迫られている。また、コロナ化で非接触・非対面チャネルの利用が増え、ECやキャッシュレス決済の重要性も増している。

    顧客接点は店舗やコールセンターといったオフラインから、アプリなどデジタル接点の活用も増えている。店舗は必ずしも商品を買う場ではなくなっている。各接点をつないだシームレスな体験を顧客に提供することで囲い込みができる。メーカーやブランドが直接に顧客との接点を持つD2Cのサイトを立ち上げてデータ収集にも乗り出している。このため小売業も、商品中心の発想から顧客起点のコミュニケーションを行うことでCX(顧客体験価値)向上やファン化、ロイヤル化が可能となる。

    CX向上のポイントは“顧客を理解すること”

    調査によれば73%の消費者は、CXが購買の意思決定を左右すると回答している。CX向上は「顧客を知る」こと、「知ったことをベースにコミュニケーション」が必要としながら、本人が了解しない間違った形での広告配信や類推ベースの顧客プロファイリングによって、関係ない広告が表示される、買ったのにその商品の広告がまた出るとか不愉快な思いをさせることも多い。データ活用の品質が低いことでこうしたことが起きる。データの品質を高めたいが国際的にプライバシー保護の規制が強まっている。
    ならば直接的に個人を特定する情報を提供させる手法もあり、メールアドレスの登録を求めたりするのがその例でありカスタマーフレンドリーとは言えない。そこで今後必要になるのがファーストパーティデータ戦略である。大事なことは顧客との信頼関係の向上、顧客から見た透明性の確保がひとつ。2つ目は自社の固有資産としての顧客データの収集。サードパーティデータにはない品質の高いデータが重要になる。3つ目は最適なCXを提供するためのパーソナライゼーション。それも顧客にとってメリットのある体験を提供するためのパーソナライゼーションだ。

    ファーストパーティ―データ戦略が必要な理由
    ファーストパーティ―データ戦略が必要な理由

    データのサイロ化を解消し整合性の高い施策を提供

    ティーリアムのソリューションは、顧客接点で発生するデータを、法規制や顧客の意向に沿った形で収集し、顧客プロファイルとして自動で統合して顧客にとって適切なコンテンツを適切なタイミングで適切なチャネルでコミュニケーションを図ることを可能にする。

    ファーストパーティデータは何らかの形で社内に蓄積されている。ほとんどの企業ではその情報が社内でサイロ化して保管されている。サイロ化したデータを必要に応じて持ってくるなど非効率な活用をし、全体整合性のない施策を顧客に提供している。顧客ニーズに関係なく社内の部門の都合でのアプローチになっているわけだ。

    CDPは、様々な接点で発生するサイロ化された顧客データを、一元的に収集することで360°ビューでの顧客理解を促進することが目的だが、実際にはデータを溜めることが目的化しており横展開できていない。ティーリアムのCDPはデータを一元的に収集するのは同様だが、単に一カ所に集めるだけでなくデータを活用することにフォーカスしている。つまり集めたデータを標準化し使いやすくし、アクションがあった時に顧客プロファイルとして自動集計する仕組みとなっている。

    顧客がアノニマスな状態から会員登録をして特定できプロファイル1が設定される。同時にモバイルアプリをダウンロードして作成されたプロファイル2を参照して1と2が同じ顧客となれば、それらを統合してプロファイル3として定義する。デバイスを変えても、アクションを起こせば自動認識する。何かすれば顧客プロファイルが充実していく仕組みになっている。

    ティーリアムは1000以上のタグをマーケットプレイスに登録済みであり、200以上の事前定義済みのAPI接続機能をマーケットプレイスに登録済みとなっている。

    Tealiumによる位置情報を活用したリアルタイム・マーケティングの事例
    Tealiumによる位置情報を活用したリアルタイム・マーケティングの事例
    Tealiumによる機械学習を用いた予測を踏まえたターゲティング
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    各プログラムの詳細

    下記画像リンクから、各プログラムの詳細をご覧いただけます。

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