二宮涼太郎社長に直撃!オーケーが消費者から支持される理由とそのための戦略
スマホ決済の導入が来店動機の創出に
──最近のニュースとして、2019年4月からスマホ決済の「LINE Pay」「PayPay」を導入しました。
二宮 お客さまにオーケーでさらに便利に買物をしていただきたいという想いから導入を決めました。
当社では、「オーケークラブ」会員(入会金・年会費は無料:カード発行費用200円)のお客さまは、食品については本体価格から「103分の3(3%相当額)割引」を受けることができます。これは現金払いの場合のみの特典なのですが、現段階ではスマホ決済でも適用されるようにしています。なぜなら、スマホ決済の運営会社のキャンペーンにより、初期費用のほか、今のところ決済手数料も無料で、当社側にとくに負担が生じていないためです。
ですので、手数料無料の期間限定ではありますが、スマホ決済のお客さまは、オーケークラブカードの特典と、スマホ決済のポイント還元の双方が受けられるようになっています。
──利用動向はいかがですか。
二宮 驚いたのは、導入直後から多くのお客さまの利用があったことです。スマホ決済は想像していた以上に消費者に普及していると感じました。
またSNS上のオーケーについての投稿を見ると「オーケーを利用したことはないけれど、スマホ決済が使えるなら行ってみようかな」というコメントもあり、決済手段が来店動機につながるのだという新たな発見もありました。こうした新しい決済手段については、合理的に運営ができるようであれば導入し、世の中の流れに後れをとらないようにしたいと考えています。
ターゲットは絞らず公平な商売をする
──「オーケークラブ」会員の情報はどのように活用されているのですか。
二宮 実は会員登録の際、お客さまの個人情報は郵便番号しかいただいていません。
お客さまからいただく情報はしっかり管理する必要があるので、個人情報を扱う量が増えればそのぶんコストもかさみます。そのため、お客さまから取得するデータは郵便番号のみと割り切りました。それでも、購買履歴や商圏範囲の把握などは可能なので、とくに困っていることはありません。
──特定の世代や顧客層に対するアプローチは行っていないということですか。
二宮 ターゲットを絞りこむという考えはありません。オーケーの「高品質・EDLP」はすべての層に価値があるものだと思うからです。
一方で、「すべてのお客さまに公平な商売をする」というポリシーを徹底しています。たとえばタイムセールは実施しません。なぜならその時間帯に来店できないお客さまはメリットを享受することができないからです。また「オーケークラブ」カードも、発行手数料を払っていただいているお客さまに不公平にならないように、お客さま間での使いまわしはご遠慮いただいております。
──ここ数年、競合と差別化を図る施策の1つとして、総菜とベーカリーを含む生鮮5部門で「名物商品」の開発にも力を入れています。
二宮 名物商品を開発する目的は明確で、価値ある商品を提供することによる売上の拡大です。オーケーならではの商品として販売するからには、低価格でありながら、高品質を実現している商品でなければ意味がありませんので、バイヤーは今まで以上に汗をかきながら名物商品の開発を進めています。
最近のヒット商品は、19年1月に発売した「ノルウェー産 旨い塩さば」です。すでに19年度分の在庫が終了してしまったほど好評でした。来年度にはさらなるボリュームでの販売にチャレンジする計画です。
──今年10月には消費税増税が控えています。
二宮 増税により節約志向が高まるなか、当社のようなディスカウントストアにとっては追い風になる部分もあると思います。これを好機に、多くのお客さまにオーケーにご来店いただきたいです。今後も引き続き、ふだんの商売を徹底して「高品質・EDLP」に磨きをかけ、その結果としてオーケーのブランド力を高めていくことができたらと思います。
企業概要
本部所在地 | 神奈川県横浜市 |
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創業 | 1958年6月 |
資本金 | 28億6882万円 |
代表者 | 二宮涼太郎社長 |
売上高 | 3566億9400万円(18年3月期) |
店舗数 | 118店(2019年5月末現在) |