通信販売、規模で百貨店に並ぶ(日本通信販売協会佐々木迅会長談)

2016/01/08 00:00
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 1月8日公益社団法人の日本通信販売協会(東京都/佐々木迅会長)は、「平成28年新年賀詞交換会」を開催した(@パレスホテル東京)。佐々木会長のあいさつを抄録する(談:文責・千田直哉)

 

「2014年度の通信販売市場の市場規模は、6兆1500億円(対前年度比4.9%増)であり、16年連続で増加した。初めて6兆円を突破した。この数字は物販を中心にしたものであり、コンテンツやサービス(旅行、航空など)は入っていない。日本百貨店協会がまとめた2014年度の市場規模は、6兆2000億円であるから通信販売は規模的には百貨店に並んだと言っていい。通信販売は、消費者の生活には欠かせないごく普通の買物手段になってきた」

 

「その中で、私は2014年3月から12月まで内閣府の消費者委員会の特商法専門調査会の委員として特商法改正の議論に参加した。そこで感じたのは、“特別な商取引”である訪問販売と通信販売を規制すべきという考え方だ。何かにつけて、『商品を手に取ってみることができない通信販売は特殊でありトラブルが多い』と言われてしまう。しかし、現在はその市場規模が示す通り、大半の消費者が利用しているのであり、そうした見方はやめてもらいたいと強く思う。一般の消費者にとっては、買物手段のひとつとして定着しており、特殊な商取引ではない。むしろ消費者はネット上の口コミや評判をチェックして、悪徳事業者の誇大広告などに惑わされることなく賢く利用するようになった」

 

「昨年、日本通信販売協会は、特商法専門調査会に合計5回の意見書を提出した。特商法の改正については、電話勧誘販売、誇大広告への取消権導入など通信販売業界への新たな規制導入は見送りになった。今回、消費者契約法の改正議論も含めて、まだまだ通信販売に対する見方は変わっていないと強く感じた」

 

「一方で、高齢社会を迎え、高齢者のトラブルも実際に起きている。これは業界だけでなく、官民一体となって、真剣に考えていかなければいけない問題だ。また通信販売の利用拡大にともなって、いかに迅速に正確に商品を届けるか。また、不在の時の再配達の問題…。環境への負荷も含めて大きな課題になっていることも事実だ。これらは物流関係の方々と連携して解決していきたいと認識している」

 

「昨年4月に機能性食品表示制度がスタートした。2015年末で170超の食品が届け出を受理され、今後も続々と登場することになると予想される。健康関連商品は通信販売での購入率が高い。日本通信販売協会にとっても重要な商材と言える。ぜひ、今後も多くの商品が受理され、通信販売協会が盛り上がることを期待したい」

 

「協会の活動としては2015年11月1日に韓国のソウルで日中韓首脳会議が開催された。それに合わせて開かれた日中韓経営者サミットでは、通信販売協会の交流・友好促進のための覚書を締結した。一方、第4回アジア通販サミットはMARS騒動の中で遅れ、11月26日~27日に韓国の済州島で開かれた。第5回のアジア通販サミットは、この6月9日~10日に福岡県福岡市で開催される。ぜひ、日中韓の友好促進も含めて、参加してほしい」

 

「最後に日本通信販売協会は、設立主旨である消費者保護と業界の健全な発展をめざす団体として活動する。業界の発展のために襟を正すところは正し、今後もルールの順守は徹底していく所存だ。一方、通信販売業界の新興ということでは、もっと業界への理解を深めていただくために、情報発信も強化していきたい」
 

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