九州の地域密着型ドラッグストア 「新生堂薬局」のDX戦略とは?
「健康台帳®」でカウンセリング
DXの取り組みは、話題のリテールメディアにも及ぶ。
テレビコマーシャルで流れている商品の広告を、DgSの店内に設置しているデジタルサイネージでも発信する。ブランドの認知度を高めて購買を促すというものだ。実際に購入した顧客に対しては、商品がなくなる頃を見計らい、再購入をねらったクーポンも配信する。
現代の消費者は、オンライン、オフラインを往来する購買行動をとるのが特徴だ。
新生堂薬局では最新のテクノロジーを駆使した仕組みを通じて顧客の買物同行を把握し、最適なマーケティングを行っているわけだ。
それらの一環で、今年10月からは新たに「会員ランクサービス」をスタートした。毎月の買物額に応じて会員ランクを判定。そのランクに応じ、ポイントを進呈するというもの。具体的なランクと付与されるポイント倍率は、「レギュラー会員」は1 倍、「ブロンズ会員」2 倍、「ゴールド会員」3 倍、「プラチナ会員」5倍となっている。施策が顧客に浸透すれば、さらに大きな効果を期待できるようになるはずだ。
同社が今後、「ヘルスケアステーション®」の実現に向けて大きな期待を寄せるのは「健康台帳®」である。
これは、タブレット端末を使って各店舗のスタッフがカウンセリングを行う仕組みである。店舗スタッフは、顧客から聞いた健康状態やアレルギーの有無、悩み事といった情報をその都度、入力していく。次の来店時、もし別のスタッフが応対しても蓄積したデータをもとに接客できるため、適切なOTCを勧めることができる。
さらにカウンセリングを通じて受診勧奨することも可能だ。たとえば毎回、咳止め薬を買い続けている顧客に対して、購買履歴を見ながら「もしかしたら病院に行ったほうがいいかもしれない」と助言することもできる。つまり、これは新生堂薬局がめざす「ヘルスケアステーション®」の中核機能「プレホスピタルカウンセリング」(病院に行く前の健康相談から受診勧奨までの助言・指導)なのだ。この「健康台帳®」は外販もしている。
「今後もDXを推進することで『相談できる薬屋』のポジションを確立したい。最終的には『健康寿命の延伸と社会保障費の抑制に貢献する』企業になれるよう努力を続ける」と水田社長は話している。
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