米国スーパーマーケット業界の次のテクノロジートレンドはこれだ!
米国小売業界において、コロナ禍で最もDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進んだ領域の1つが、スーパーマーケットだ。AIによってサプライチェーン全体を統合・可視化し、物流速度や精度を高め、それにより顧客体験も向上した。本稿では、NRF2024の講演の内容をもとに、スーパーマーケットにおけるDXの2つの大きな要素である、オンラインデリバリーとAI活用の現状と今後の期待される方向性について、フォレスター・リサーチのプリンシパルアナリスト、スチャリタ・コダリ氏による解説、ならびに米スーパーマーケット大手、クローガーのCIO、ヤエル・コセット氏のコメントで構成した。テクノロジーを活用して、次に普及するものは何か見えてくる。
オンライン売上は成長続くも、
生鮮食品のEC化率はいまだ低い
米商務省の月次小売販売額データによると2010年に食費総額は約1兆ドで22年には2兆ドルに近づいている。しかしその内訳を見ると、30年前は食費の3分の1程度だった外食比率が22年には50%に近づいている。またフォレスターリサーチの推計によると、オンライン売上の内訳は、非食品である日用品が63%を占め、非生鮮食品が24%、生鮮食品が13%となっている。生鮮食品の販売動向はいまだ、期待ほど大きくない点についてコダリ氏は指摘した。
図表1は商品カテゴリー別のオンライン売上構成比(=EC化率)の推移(20年度1月期から23年度10月期まで)を示したものだ。
EC化率が高いのは「ビューティ」「ゼネラルマーチャンダイズ」で直近ではそれぞれ3割を超えている。次いで「ホームケア用品」が21%、一方食料品では「飲料」13%、「冷凍食品」13%、「一般食品」10%、「冷蔵商品」9%となっており、いずれも非食品と比べると圧倒的に低く10%前後に過ぎない
コロナ禍で、「実店舗のフルフィルメント化」が進んだほか、ラストマイル配送のスピードアップ、店舗・カーブサイドピックアップサービスの拡大などが起こった。それによって食品カテゴリーはすべて、21年5月の調査では、それ以前と比べて倍以上にEC化率が高まっているが、まだ伸びしろがあるという指摘だ。
食品はBOPIS率が高い
アマゾンは生鮮食品配送に弱い
図表2の左のグラフは、EC化率とその内訳を示す。