EC接客でお客の好みに合わせ自動提案!アシックスの生成AI活用戦略とは
北米地域でチャットボットをテスト運用
オンライン上で、リアル店舗での有人対応に近いナビゲーションを実現するには、通常の定型的なFAQを超える提案のバリエーションが求められる。そう考えたアシックスが、2024年3月からECサイト内に試験的に導入しているのが、生成AIを組み込んだ生成AIアシスタントだ。
この生成AIアシスタントでは、ユーザーが購入動機やランニングのシーン、購入に当たって重視するポイントなどの質問をオープンに入力する。それに生成AIアシスタントが答え、ユーザーと会話しながらニーズを絞り込み、最終的に候補となるシューズをリコメンドする、というものだ。
現在は最終試験段階にあり、北米地域にて社員や「OneASICS」会員の中から同意を得た会員など一部のユーザーに限定して生成AIアシスタントを公開、運用している。北米を選んだ理由として、展開がしやすい英語圏であること、人口ボリュームが大きいことに加え「消費者法制が厳しいこと」を挙げる。
「例えば『このシューズだったら膝の痛みは治ります』といった不適切なガイドをしないようにディスクレーム(権利不要求)するのが、生成AIアシスタント開発における大きなチャレンジの一つ。米国の消費者法の規制をクリアするのは非常に骨が折れる作業だったが、今後の展開を考えるとまず基準の厳しい環境で開発できたことがプラスになったと考えている」
ちなみに先の中期経営計画によると、アシックスの地域別のランニングフットウエア市場におけるシェアは欧州(25%)、豪州(36%)、日本(26%)に比べて北米は9%と相対的に低い(数字は2022年実績)。同社にとって重点的に注力すべき地域であることも理由の一つだろう。
なお、地域やユーザーは限定しているが、カテゴリーについては「準備できている情報をインプットするのであればカテゴリーにあまり差はない」との理由で絞っておらず、フットウエア全般で展開している。