英NHS、音声アシスタントによる医療助言で米アマゾンと提携
[10日 ロイター] – 英国民保健サービス(NHS)は、米オンライン小売り大手アマゾン・ドット・コムと提携し、同社の音声アシスタント「アレクサ」を通じて片頭痛や風邪など一般的な症状についての医療アドバイスを提供する。患者の自宅での医療を援助し、医療費を削減するのが狙い。
特に高齢者、目の不自由な人や従来の方法でインターネットが利用できない患者を対象に、音声によりNHSが検証した情報を提供する。例えば「アレクサ、片頭痛の治療法は」との質問に、アマゾンはNHSのウェブサイトからの情報に基づき、アルゴリズムで回答する。
ただ電話や人とのやり取りに慣れている高齢者にとって、医療サービスを得るために新たなハイテク機器を使うのは容易ではないとの懸念も聞かれる。
高齢者のための慈善団体、エイジUKのチャリティ担当ディレクター、キャロライン・エイブラハムズ氏は、スマート機器は、特に高齢者に使い方を覚える支援があれば、医療情報やアドバイスの日常的な利用を可能にするかもしれないと指摘。その上で、高齢者は直接人に会ったり電話を使ったりして医療情報を手に入れており、65歳以上の500万人はインターネットを使ったことがないと述べた。
アマゾンは医療分野での事業展開に力を入れている。昨年、オンライン薬局のピルパックを買収し、米国で従業員の医療費削減を目指すバークシャー・ハザウェイやJPモルガンと手を組んだ。
マット・ハンコック保健相は既に何百万人もの国民がアレクサなどの音声アシスタントに医療に関する質問を行っており、最善の回答が得られるよう徹底したいと述べた。
英家庭医学会のヘレン・ストークスランバート会長は、音声支援技術は、一般開業医が最も医療を必要としている患者に充てる時間を増やすのに役立つと説明。その上で「ただ、こうした機器を購入して利用できる人とできない人との『デジタルデバイド(情報格差)』を作り出さないように気を付ける必要がある」と付け加えた。
アマゾンのアレクサ対応のスピーカー、「エコー」や「エコードット」の価格帯は約50ポンド(62ドル)から200ポンド強。
現在、人工知能(AI)とビッグデータを利用した技術の医療分野への導入が進んでいる。