新潟の人気スーパー・ウオロクの新店「緑店」に見た鮮魚売場の進化と深化
ウオロク(新潟県/葛見久賢社長)は7月9日、新潟県新発田市に「ウオロク緑店」(以下、緑店)をオープンした。旧店をスクラップ&ビルドするかたちで、新発田エリアの旗艦店として開業した同店。ウオロクが現在強化を進めている鮮魚部門の取り組みや、地域性を打ち出した商品政策(MD)による店づくりで、顧客層の拡大につなげているという。ウオロクの最新の売場づくりをレポートする。

“魚屋回帰”の姿勢を前面に打ち出した鮮魚売場
緑店は、JR白新線「新発田」駅から約1.7kmの場所に位置する。新発田はウオロク発祥の地で、緑店のほか3.5km圏内に店舗4店舗が密集するドミナントエリアでもある。緑店は同エリアにおける旗艦店としてオープンした。
緑店の売場面積は約2900㎡(約900坪)で、同社の標準サイズ(600坪)と比べるとやや大きい。旧店は3000㎡以上あり、衣料品などの非食品も取り扱っていたが、スクラップ&ビルドを機にサイズダウン。衣料品などの取り扱いもやめた。
緑店で最も注力しているのが鮮魚だ。魚屋を祖業とするウオロクは現在、他社との差別化を図る施策として“魚屋回帰”を掲げ、鮮魚部門の強化に取り組んでいる。その方針のもと、緑店の鮮魚では最新のMDを導入した。

なかでも目を引くのが、売場中央に吊り下げられている「五十集屋(いさばや)」の垂れ幕だ。この「五十集屋」はウオロクの祖業である鮮魚商の屋号、「五十集屋 六右エ門」に由来。ウオロクが掲げている“魚屋回帰”の実現に向け、祖業の屋号を使いながら専門性を追求した売場づくりに取り組んでいる。
売場では地元・新潟をはじめ、北海道など各地の漁港から取り寄せた新鮮な丸物や切身を並べる。取材時は、売場中央に北海道産の「天然ぶり」(1万5800円)やカニなどの丸物を集めて素材の新鮮さを訴求していた。また、売場には従業員を常時1人配置し、商品について説明したり、おすすめの商品を紹介したりとお客とのコミュニケーションを図っている。

即食商品も充実しており、海鮮丼や握り寿司、弁当のほか、揚げ物や煮魚などバラエティ豊かな品揃え。「天然魚入り握り」など、売場に並ぶ新鮮な丸物を原料に使用した商品も差し込んでいる。
総菜の新規MDにも注目!

精肉は、地元のブランド牛「新発田牛」をのぼり旗やPOPを使ってアピール。肩ロースのうす切りや切り落とし、加熱用ハンバーグからローストビーフまで取り扱い、地域性を強く打ち出していた。
総菜は、約2年前からスタートした新しいMDを全面導入。店内で焼き上げた「旨み極まる玉子焼き」や、24年11月オープンの「小針南店」(新潟県新潟市)から販売を開始した、手鍋で一品一品調理する「手鍋丼」シリーズの新商品「濃厚デミ玉手鍋メンチカツ丼」を売場に並べていた。これらは、ウオロクが22年に生鮮デリカセンターを開設し、総菜や生鮮の一部商品の製造をセンターに移管したことで生まれた商品だ。店舗の負担が減ったことでインストアの総菜を拡充できるようになったという。

地元・新発田ならではの商品も目立つ。新発田市にある「宮村製麩所」の車麩を使った「宮村製麩所車麩 特製だしの玉子落とし」や、同市で長年販売されてきたスギサキのアイスクリーム、同市の酒蔵「菊水酒造」の酒粕を使った「菊水の酒粕仕込み あんぱん」など、地域で愛されてきた商品や原料を使った商品が見られた。

こうした店づくりの下、緑店は好調な滑り出しを見せているという。とくに旧店と比べて客層が広がったといい、以前は高齢者が中心だったが、若年層の利用も増えた。緑店を中心に、新発田エリアでウオロクとしてさらなるシェア拡大をめざす。
【店舗概要】
オープン日 2025年7月9日
所在地 新潟県新発田市緑町3-3-23
店長 佐藤祐輔
営業時間 9:00~22:00
延床面積 約2900㎡
駐車台数 378台






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