関西で怒濤の出店ラッシュ!大阪府13店舗目 「ロピア岸和田カンカン店」の売場を解説!

榎本 博之(経営コンサルタント事務所 アズライト代表)

精肉でも冷凍で新たな試み!

 精肉売場では、主力である生肉の圧倒的な展開でマグネット機能を強化しながらも、新たな取り組みに注目したい。こちらも冷凍食品の開発が進んでおり、水と野菜を加えるだけで調理できる「もつ鍋キット」や、「肉ごちディナー」と題したスペアリブ、チーズダッカルビ、カオマンガイ、シュクメルリなどの多彩なメニューキットを開発している。

 これらのメニューは、これまでも総菜として商品化され、一部冷凍食品と併売するかたちで展開されていたが、精肉コーナーでの展開が加わり、生鮮と総菜の一体感を強める提案として、どのような効果を生むかが注目される。価格は699~899円と幅広く、素材原価に応じた価格差が見られる。このあたりは、これまでファミリー層向けの大容量・まとめ買い中心の構成とは異なり、手軽な利用や単身者への訴求にもつながる点も注目したいところだ。

ロピアオリジナル商品のレトルトのビーフシチュー(799円)。精肉でも販売する自社ブランド牛「みなもと牛」を使用したこだわりの商品だ

 また、販売期限の長いレトルトパック商品として、ロピアオリジナルの「みなもと牛」を使ったシチューやスープなどの開発も行っている。主通路に面した平台の側面で関連販売されており、同店では799円で販売されていたが、他店では999円で販売されているアイテムだ。まずはトライアル購買を促すプロモーションとして展開している。素材を生かした商品開発はロピアの得意分野であり、食品メーカーの買収を重ねる動きを見ても、今後このような取り組みがさらに広がっていく可能性が高い。

“ロピア流”生産性向上策に注目!

 日配やグロサリーでは、アイテムを絞り込んだ単品量販の売場スペース拡大が進んでいる。冷蔵保存のPB調味料やドレッシング類を3尺1本使って単品量販していた。主通路に面した平台では、チラシ掲載商品を中心に、対象商品の訴求を行っている。グロサリーでは「販売日本一を目指す」とPOPで掲げ、台車を使った効率的なボリューム陳列が目立っていた。あらゆる商品を扱うのではなく、自店で売り込むべき商品を明確にし、その販売を最大化する売場づくりを進めている。

 菓子や珍味のコーナーでは、インパクトを強めるため、高さ240cmほどある手が届きにくい位置まで使った陳列を実施していた。売場イメージの強化を割り切って進めており、大胆な展開といえるだろう。

 もう一点注目したいのが、効率性を意識した売場設計である。先ほど説明した単品量販用台車は可動式であり、売場での作業を必要とせずに準備ができる。また、同店の牛乳売場では、アメリカでよく見られるリーチイン形式の台車での陳列を展開している。補充作業をせず、台車ごと差し替えるだけで売場での補充が可能となっている。業界全体で人材確保が困難な状況において、生産性向上をどう実現していくかについても、ロピアは意識的に対応しているのがわかる。

 このように、ロピアの売場は一見すると、これまでと同様に価格訴求を中心としたまとめ買い需要の喚起を強化する構成である。しかし、細部を見ていくと、商品開発の流れには、新たな取り組みの種まきとなる変化が含まれている。

 生鮮や総菜における冷凍食品の活用は新たな客層の拡大につながる可能性があり、日配やグロサリーでの単品量販は目的買いを促進し、市場シェア拡大や来店頻度向上にも寄与する可能性がある。こうした新たな動きから、ロピアがどのようなニーズを掘り起こそうとしているのか、新店における取り組みの意図を丁寧に見極めていきたい。

(店舗概要)
開店日 2025年6月19日
所在地 大阪府岸和田市港緑町2-1 岸和田カンカンベイサイドモール EAST
営業時間 10:00~20:00

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