ライフコーポレーション(大阪府)は2024年3月、「ライフ池袋三丁目店」をオープンした。出店地は「池袋」駅から至近のタワーマンションの1階部分。約255坪という小ぶり売場にどのように差別化要素を取り入れ、店の存在感を高めているのか、確認していきたい。
30階建てタワーマンション1階部分に出店
「ライフ池袋三丁目店」は、大型ターミナル駅「池袋」駅と、東京メトロ有楽町線・副都心線が乗り入れる「要町」駅との間に開発された30階建てのタワーマンションの1階部分にある。
都内でも屈指の利用者を誇る「池袋」駅徒歩圏ということもあって、店舗から1km圏内の人口は7万310人と多く、周辺は「まいばすけっと」「東武ストア」「マルエツ」などのスーパーマーケットのほか、生鮮業種店が点在する。売場面積は842㎡(約255坪)と小型店の位置付けで、店舗用駐車場がないため、近隣住民の高頻度の利用が集客を左右することになりそうだ。
売場はワンフロアで、レイアウトは青果と総菜がトップに並び、壁面に沿って精肉、鮮魚と続き、壁面で日配、冷凍食品、飲料、酒類を配置する。また、鮮魚の対面には自然派PBの「ビオラル」コーナーも設けている。
売場では、陳列スペースを確保するために多段ケースを多用しており、乱雑にならないように縦割り陳列が徹底されている。陳列がグルーピングされていることで、売場は全体的に整然とした印象で、お客にとってわかりやすい配置になっている。
小型店ではあるものの、主通路の通路幅は2m以上あり、ゆったりとした買物環境を演出している。限られた売場面積の中で、単に効率化するだけでなく、差別化につながる部分については十分にスペースを確保しており、特徴ある店づくりをめざしていることが伝わってくる。視察時は、若い年代層の買物客が多く見られた。
高価格帯商品の売り込みに注目!
主要部門の売場を見ていこう。青果では、特設コーナーにピーマンやナスの大袋を配置し、果物のトップではイチゴを展開していた。イチゴは398円の価格訴求品を中心に6SKUを揃えており、高単価品も扱うなど幅広い取扱いとなっている。
隣のギフトコーナーに目を向けると、アールスメロン3SKUを販売しており、最も高いものが1万2000円と、こちらも高単価品の需要を探る商品展開となっている。その他の果物コーナーでも、「ワールドフルーツ」というパネルを掲示して輸入果物を充実させており、近隣の競合店との違いをアピールしていた。剥いた葉の部分を調理で活用できる大型のバナナのつぼみや調理用バナナ、マンゴスチンを含むトロピカルフルーツが豊富に並んでおり、価格も500円以下のアイテムが中心で、トライアル需要を促していた。
野菜は冷蔵ケースと常温ケースで、購入頻度の高い定番品を中心にメリハリのある品揃えとなっている。常温ケースでは、通常は売場の最後に配置されることが多い土物野菜を中心に陳列していた。買い忘れがないように目立つ場所で展開しているようだ。
トマトやしいたけでは、「ライフのこだわり野菜」のシールを貼付したアイテムが展開されるなど、こちらも栽培にこだわった高付加価値商品へのアプローチが目立つ。総菜と並ぶようなかたちで売場が配置されており、即食関連で青果と総菜を併売する対応が取られていた。
青果では袋物のサラダ用カット野菜を絞り込み、ケース下段で店内加工のトレーパックサラダが並んでいた。すぐそばの総菜売場でもサラダコーナーを設置し、袋物カット野菜や青果の商品を使った店内加工のサラダが並んでいる。類似した構成の売場がすく近くにあるレイアウトになっており、客動線や購買行動の検証しているのかもしれない。単身世帯用の小分け・少量アイテムが充実するほか、加工商品は店内加工とアウトパック加工が併用されており、店内での負担を軽減している。
メリハリに注目の総菜売場
続いて総菜は、レジ脇のメイン平台に弁当類や拡販商品を並べ、マグネットとして機能させている。店内加工品が中心で、出来立て感をアピール。その奥にインストアベーカリーを差し込み、おかず単品の商品を並べている。そのため、少し関連性が薄れた売場配置となっている。
おかず単品はばら売りはせず、全てパッキングされたものを提供している。縦割り陳列により、ボリューム感あふれる売場になっており、お客にインパクトを与えている。これは壁面に沿ったケースでも同様で、小さなポーションサイズの弁当類や寿司・巻物、おにぎり、白米・玄米、飲料などがグルーピングに沿って縦割り陳列されている。ケース上段では、はちみつやだしといったPBの高単価アイテムの関連販売を一部で行っており、客単価への貢献と商品の認知度向上に一役買う役割が期待される。
おかずアイテムの中には生鮮部門の注力アイテムを材料とするメニューもあり、トライアル購買と生鮮への関連購買への仕掛けとして活用している。たとえば、精肉で販売する「あまに豚」を使用したシュウマイや餃子はスペースを確保してボリューム陳列を行っていた。冷蔵ケースではデザートを充実させており、新たな需要創造に向けた取り組みが行われている。売場のメリハリをつけるため、視察時は煮物などの和総菜の売場スペースは圧縮されていた。
後編では、精肉、鮮魚、日配などの売場をみていく。