ロピア(神奈川県)は2023年7月26日、埼玉県新座市に「ロピア新座店」を出店した。Olympic(東京都)が運営する商業施設内、広大なテナントスペースを存分に活用し、ロピアとしては“理想的”な売場配置を実現した同店ではどのような売場づくりをしているのか。前編に続いて、同店の売場を見ていこう。
調査日;8月10、12日 ※本文中の価格はすべて本体価格
看板部門の精肉売場!
生鮮ゾーンの突き当たりで展開する精肉は売場面積が約170坪(歩測)で、「肉のロピア」というサインを大きく掲げ、看板部門であることを強調している。入口から見て右壁面48尺では牛肉を展開しており、「ブロック」「ステーキ」「焼肉」「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」などメニュー別に商品を陳列。国産の黒毛和牛のほか、オリジナルブランドの「みなもと牛」「適霜牛」など米国産と豪州産の輸入牛を絡ませ、幅広い価格帯で商品を提供する。
豚肉・挽肉は壁面36尺で、草加センターからの納品で対応する。輸入豚は店内加工で、豪州産の「豚バラスライス」(100g118円)、メキシコ産の「豚ロース生姜焼」(100g86円)、スペイン産の「豚肩切り落とし」(100g78円)など他店を圧倒する安さで提供する。カナダ産の「豚肩糸巻焼豚用」(100g89円)など一般的なスーパーマーケットではあまり見かけない商品もしっかりと押さえており、品揃えの豊富さも目を引く。この商品構成こそ、ロピア精肉売場のノウハウなのであろう。
鶏肉は「みなもと鶏」をメインに、「博多地鶏」「甲斐新鮮鶏」なども扱う。価格訴求の「メガ盛り」のほか、みなもと鶏の「むね肉」(100g39円)、「手羽とろ(肩肉)」(100g69円)なども値ごろを感じられる価格で提供していた。
ロピアの精肉売場は独特な雰囲気があり、売場内では同伴者と話しながら買物を楽しむ様子をしばしば見かける。大容量中心で1品当たりの単価が高いため、相談しながら買物をしているのだろう。商品を「売る側」と「買う側」の“せめぎ合い”が売場に活気をもたらしている。
オリジナル商品だけじゃない!圧倒的安さは健在
広大な売場スペースを生かし、加工食品を充実させていることもあって、加工食品の売場スペース構成比は26%と、関東の比較的新しい店舗である「おおたかの森コトエ店」(千葉県流山市:21%)、「越谷大里店」(埼玉県越谷市:23%)と比較すると、3~5%ほど高い(いずれもオープン時のデータ)。ゴンドラゾーンは前方に「飲料」「麺類」缶詰」など、後方に「飲料」「乾物」「調味料」「嗜好飲料」を配置。全体に売れ筋を過不足なく揃えた堅実な構成となっている。
調味料はナショナルブランド(NB)商品に、グループの丸越醸造が製造する商品を絡めた独自のラインナップとなっている。オリジナル商品が増えたこともあって、NBとの比較した提案が随所で見られるようになっており、とくに最近では22年に買収した道場六三郎事務所の監修商品が目立つ。どの商品も付加価値が感じられる仕様となっており、差別化に一役買っている。
オリジナル商品の品揃えだけでなく、売れ筋NBの価格訴求も徹底されており、「キユーピー・マヨネーズ450g」(255円)、「日清食品・日清ラ王袋麺5食」(各種333円)、「大塚製薬・ポカリスエット1.5ℓ」(189円)、「はごろもフーズ・ポポロスパ7分結束700g」(199円)、「ハウス食品・バーモントカレー甘口230g」(199円)と他チェーンではなかなか真似できない価格で販売。昨今の値上げラッシュもあって、以前より控えめになったと思われたロピアの価格訴求だが、その勢いは衰えていない。
冷凍食品では「あの商品」が売場に!
日配の売場配置は、和日配が正面壁面90尺で「納豆」を先頭に、最後に「梅干」を配置した既存店のスタイルを踏襲。価格訴求も一部行われているものの、堅実な価格設定で利益が取れる構成になっている。
洋日配は正面壁面の左サイド22尺のスペースで卵とチーズなど、左側壁面104尺で「ヨーグルト」「牛乳」「カップ飲料」などを配置する。最下段はバンドル販売となっており、まとめ買いを推奨する。
平場では、2レーンを使って「アイスクリーム」「冷凍食品」を展開する。アイスクリームではプレミアムアイスとして、「ハーゲンダッツジャパン・ミニカップ」(219円)のほか、沖縄名物の「ブルーシール」を販売、「バニラ」「チョコレート」など11品目を1個259円、2個500円で提供する。冷凍食品はオープニングの販促で、恒例の6割引きセール(一部除外)を実施する。
冷凍食品で気になったのは、「味の素冷凍食品・ギョーザ12個入り」(189円)、「イートアンドフーズ・大阪王将 羽根つき餃子12個入り」(155円)の扱いがあった点だ。ロピアの既存店では、これらの商品を扱わない店舗も存在する。顧客の声に対応したのか、それともまた別の理由か、いずれにせよ、お客にとっては普段購入する商品がちゃんと揃えられている、使いやすい売場となったのは間違いないだろう。
売場に活気をもたらす「挑戦」の精神
新座店の売場全体を見て感じたのは、ロピアの売場は生鮮ゾーンと非生鮮ゾーンとで雰囲気が大きく異なるという点だ。生鮮ゾーンにいるお客は購買意欲が高く、吸い込むように各部門の商品を買物カゴに入れている。それに対して非生鮮ゾーンでは、購買意欲が一旦落ち着くのか、じっくりと商品を吟味している様子をよく目にする。売場随所に仕掛けられた演出が、こうした生鮮ゾーンと非生鮮ゾーンのメリハリを生み出しているのだろうか。
また、ロピアの新店に訪れると、必ずと言ってほど、何らかの新たな挑戦が見られる。多くのチェーンは売上をいかにアップするか、または、利益がどう確保するのか、という意識が強いが、ロピアにはそれに加えて「楽しい売場をどうつくるか」という視点が常にある。
新座店では、加工食品売場内に、北海道から沖縄まで47都道府県の「サイダーを集めた「ご当地サイダー」コーナーを設けており、北海道は「友桝飲料・夕張メロンサイダー」、富山県は「トンボ飲料・ブラックサイダー」など52品目を1本199円、よりどり2本359円で販売していた。このような常に挑戦するロピアの企業姿勢が、売場に活気をもたらしている。
(店舗概要)
所在地 埼玉県新座市中野2‐2‐38 OSCデオシティ新座1階
開店日 2023年7月26日
売場面積 約580坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 約1000台(施設全体)