〇〇といえばイオン、無印良品といえば〇〇……ドンキも取り組む「想起」の戦略

宮川 耕平(日本食糧新聞社)

イオンリテール(千葉県)の古澤康之社長は「〇〇といえばイオン」と第一想起されるGMS(総合スーパー)をめざすと言います。また、良品計画(東京都)で食品部を管掌する高橋広隆取締役上席執行役員は、「無印良品といえば〇〇」を増やしたいと語ります。商品からか、店からか。どちらからの想起を獲得するにせよ、顧客にかかるフックを多く持つほど、来店機会を獲得できそうです。

カテゴリー単位で第一想起の獲得をめざすイオンリテール

イオンリテールがめざす「第一想起」の獲得

 今年6月末、イオンリテールの古澤社長にインタビューした際、GMSの戦略として示されたのが「第一想起の獲得」でした。「〇〇といえば、まずイオン」と思い浮かぶようにしたいということです。

 ピザが食べたいとき、寿司が食べたいとき、異業種も含めた選択肢の中から選ばれる存在になることをめざして商品を開発し、売場を磨く──。「競合は業種や店舗ではなく、カテゴリー単位でとらえていく」と古澤社長は言います。

 同じ考え方は衣料・住居余暇にも及びます。イオンリテールでは、Z世代をターゲットにしたファッション専門店や、プラモやパズルなど趣味の世界を深掘りしたホビー・クラフト専門店を導入することで非食品領域の売場改革を進めています。

 カテゴリーごとに強力なコンテンツを持つこと。それがめざすべきGMSの姿というわけですが、現状はその価値をお客さまに伝えきれていないと古澤社長は話します。「食品も非食品も、これまでの取り組みで良い商品はたくさんあると思っています。ただ、その良さがお客さまに十分に伝わっているかというと、そうでもないところがもったいない。お客さまにいかに伝えるか、そこにもっとこだわらないといけません」(古澤社長)

 そもそもGMSの必要性は? と尋ねると、「1カ所でいろいろなことができる魅力は大きい」と古澤社長。週末に家族で出かけ、非食品で親子それぞれの興味関心を満たし、休憩した後に食品を購入して帰る、といった行動が取れるのはGMSの規模があればこそです。帰省シーズンなどには3世代で来店するかもしれません。誰もが集うGMSを実現する方法として、第一想起の獲得に取り組んでいるというわけです。

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