あのチェーンも導入!食品スーパーの「量り売り」、成功の秘訣は?

編集プロダクション雨輝
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10年ほど前から食品スーパー店舗がスポット的に導入している「量り売り(バルク販売)」コーナー。急成長のあの食品スーパー企業や、セブン-イレブン・ジャパン(東京都)が先般オープンした戦略店舗「SIPストア」で導入されたことで注目を集めた一方で、扱いを取りやめるチェーンも散見される。食品スーパーにおける量り売りの動向と成功要因について、バルク販売用什器の販売代理店グローリートレーディングの担当者に聞いた。

小売店での「量り売り」導入が広がっている
小売店での「量り売り」導入が広がっている

じわり広がるも継続に難あり、米国との違いは?

 2014年頃から量り売りのバルク販売用什器を取り扱うようになったグローリートレーディング。同社の田中氏は、「量り売りの小売店への導入は、ここ10年でじわじわと右肩上がりで進んでいる」としながらも、「正直なところ、思ったほどの広がりはない」と実感を語る。

 そもそも、バルク販売用什器の導入は飲食店が中心で、小売のボリュームは小さい。エシカル意識の高い個人規模のカフェや雑貨店での取り扱いは増加しているものの、食品スーパーの導入実績は低調だという。「たとえば個人が運営するカフェであれば、量り売りコーナーの導入により、店に変化をつけることができる。しかし食品スーパーはそういった柔軟性を発揮しにくく、導入されても継続が難しいので、売場がなくなってしまう」(田中氏)

 日本の食品スーパー企業は、米国のWhole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)をはじめとした米大手チェーンを参考にして量り売りを取り入れるケースが多いという。しかし米国と日本ではビジネス手法も異なれば、お客が重視するポイントも異なる。

 米国チェーンの量り売りコーナーは「店舗内でロケーションを押さえて一斉に展開」という手法がとられる一方、日本では「店舗の一角で小規模に始める」といった導入例がほとんどだ。また、米国では、「日常で使われる商品」が売られるが、日本では「とくに導入が始まった初期は、スーパーフードやオーガニック商品といった高価格帯の商品が扱われてきた」(田中氏)という。

 さらには、「包装されていない商品への抵抗感」を持つ消費者の存在も看過できない。日本の消費者は、包装された商品を好む傾向にある。たとえば、「包装されているナショナルブランド(NB)商品」と「包装されていない量り売り商品」があるとすると、日本では前者が選ばれやすい。「湿気の多い気候も影響しているかもしれないし、小分けされることで明確な価格が付いていることも安心材料になっている可能性もある」と、田中氏は分析する。

 ほかにも、容器から中身がこぼれやすく、売場を清潔に保つために清掃に割くコスト管理や、オペレーションの工夫が不可欠となる点も、量り売りコーナー普及のハードルになっていると考えられる。

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