全5ブランド体制に!なぜマツキヨココカラはPB化粧品の開発を加速するのか?

兵藤 雄之
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マツキヨココカラ&カンパニー(東京都:以下、マツキヨココカラ)はこの春、立て続けに開発メーカー名を全面に打ち出した化粧品の新プライベートブランド(PB)を投入する。3月発売の「nake(ネイク)」と4月発売予定の「KNOWLEDGE(ナレッジ)」だ。

「nake」の製品発表会にはタレントの山之内すずさん、レインボー池田直人さんも登場。すっぴんメイクの話題で場を盛り上げた。左からMCCマネジメントの和田邦美氏、マツキヨココカラの山内太郎氏、山之内すずさん、レインボー 池田直人さん、伊勢半・岡氏 ©マツキヨココカラ&カンパニー×伊勢半 新コスメブランド発表会

3タイプのPB約1900SKUを展開

 化粧品新PB「nake」「KNOWLEDGE」はいずれもマツキヨココカラの1億4000万人を超える顧客接点の購買データから得られた知見や分析結果と、その分野での研究開発力に長い歴史をもつ化粧品メーカーとのタッグにより生まれたものだ。

 同社のPBには、コンセプトにより3タイプがある。

 主力ブランドの「matsukiyo」、美と健康をサポートする専門家が推奨するヘルスケア商品を取り扱う「matsukiyoLAB」、高品質・高付加価値にこだわった、特定のカテゴリーに特化して開発した「独立型ブランド」で、現在、3タイプ合わせた商品数は約1900SKUに上る。

 主力の「matsukiyo」はマツキヨココカラらしさを打ち出し、極力、メーカー色を出さないのに対し、独立型ブランドはメーカー名を全面に打ち出して新たに提案する世界観を伝えていくもの。今回の「nake」「KNOWLEDGE」は、オーガニックコスメブランド「ARGELAN(アルジェラン)」、エイジングケア世代をターゲットにした基礎化粧品ブランド「Retinotime(レチノタイム)」、敏感肌向けのスキンケアシリーズ「RECiPEO(レシピオ)」などと同じ独立型ブランドとなる。

「スキンケア以上、メイク未満」がコンセプトの「nake」

 「nake」は、江戸時代後期に創業した紅屋を祖業とし、メイクアップやスキンケア製品を手がける化粧品メーカー・伊勢半(東京都)と共同開発した。「スキンケア以上、メイク未満」をコンセプトとしている。

 MCCマネジメント(東京都)で「nake」の開発を担当した商品開発部 商品開発課主事の和田邦美氏は、「コロナ禍を経て、すっぴん風メイク(ナチュラルメイク)がますますトレンドになっている。しかし、nakeはそこを狙ったものではない。すっぴん風メイクを実現するための、理想のすっぴん状態をつくり上げることに特化した」と話す。

「nake」の開発を担当したMCCマネジメント商品開発部商品開発課主事・和田邦美氏 ©マツキヨココカラ&カンパニー×伊勢半 新コスメブランド発表会

 同社が実施した意識調査(週3日以上メイクをしている15~39歳の女性400人対象の「すっぴんとメイクに関する調査」)によると、「すっぴん風メイクをめざしても、なかなか理想のメイクになっていない」という人が半数以上いることがわかった。和田氏は、その要因に“現実のすっぴん”とあるべき“理想のすっぴん”とのギャップがあると考え、「その間をうめる提案をすることで、理想のすっぴんメイクが実現しやすくなるのではないか」ということから「nake」の開発を進めたという。

 「シミやクマ、毛穴など気になる箇所だけを修正し、理想のすっぴん状態をつくりあげる」。

 このプロセスを「ととのえメイク」とネーミングし、洗顔→スキンケア→ととのえメイク→メイクという新しいプロセスの確立により、理想のすっぴん風メイクをより身近なものにできると考えた。

 これらを実現するため、「nake」には「ニキビのもとになりにくい処方」「低刺激性」「洗顔料で簡単OFF」「使う人を選ばないナチュラルな仕上がり(男性が使用した際にもすっぴんの風合いを損なわない)」「簡単に使える商品設計」といった特徴がある。

「nake」は3月11日から全10商品を展開。「nake」のロゴのに描かれた「n」は、「m」の途中までを書いたもので、「make(メイク)」の前に「nake(ネイク)」を、ということを表現している

 また、「nake」が想定する対象は、理想のすっぴんメイクを実現したいという層だけではない。先ほどの調査によると、7割近くが「理想的とするすっぴんが実現できたら、その状態で外出できると感じている」と回答している。「nake」はそうしたニーズにも応えることができる。

 さらに、マツキヨココカラの執行役員 グループ営業企画統括 営業戦略室 商品戦略専任部長の山内太郎氏は次のように話す。

 「リモートワークやオンラインなど、新しい働き方が定着したなか、男性にも、身だしなみのひとつとして、また自己表現のツールとしてスキンケア、メイク商品を使う層が確実に増えている。この機が熟したタイミングに合わせて、nakeを当社初のジェンダーレスなコスメブランドとして打ち出していく」。

 実際の開発にあたった伊勢半の営業本部営業戦略部の岡あづさ氏は、「当社として、これまでジェンダーレスを意識して開発したことはない。そこで今回は、メイクをしたいが、メイクしたことがわからない、他人から気づかれにくい風合いのもの用意した」と語っている。

 こうした層にも対応するべく、「nake」では「性、年齢で区切るのではなく、すっぴんに満足できていないすべての層をターゲットとした」(和田氏)。

 「nake」はプライマー2種、コンシーラー、フェイスパウダー、アイブロウペンシル2色、アイブロウマスカラ2色、リップバーム2色の全10商品を展開。これらを通じ、マツキヨココカラでは、いままでのメイクの概念や、メイク市場にはない新しいカテゴリーを創造したブランドの確立をめざしている。

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