「売れるパッケージデザイン」を生み出すために必要な視点とは何か

編集プロダクション雨輝
取材:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

商品から売場までトータルな顧客体験を設計

 折兼は従来、食品包装資材の調達や企画を主軸としてきた。しかし近年では、食品スーパーのプライベートブランド(PB)商品開発や店舗プロデュースに加え、外食・中食、さらには工場などを含む食品産業全般に関するコンサルティングへと活動領域を広げている。

 この背景には、国内市場における人口減少がある。限られたパイを奪い合う中で、各地のSMでは価格訴求だけに依存せず、独自の商品や売場づくりを通じて来店客の支持を得ようとする動きが広がっている。折兼はこうした動きを受けて、商品パッケージだけにとどまらない総合的な提案に注力している。

 具体的には、単に商品パッケージのデザインを提供するだけでなく、売場設計や商品構成、陳列方法、POPなども含め、店舗全体を通じて多角的な視点からコンサルティングを行っている。商品が持つ魅力をより効果的に訴求する売場づくりを、小売業とメーカーの間に立って支援しているのだ。

折兼が手掛けた売場づくりの支援例

 「商品がどのように売場に並び、どのように消費者の目に留まり、手に取られるかまで一貫して設計することで、メーカーにとってはブランド価値の最大化につながり、小売店にとっては売上の向上や来店動機の創出といったメリットが生まれる」と梅澤氏は話す。

 具体的な事例としては、動線や商品の見え方を考慮したサラダバーの売場デザインや、地域の特産品を生かした商品ラインの提案がある。これらの提案では、折兼が売場の特性や地域の消費傾向などを踏まえ、品揃え全体の方向性まで含めた提案を行うこともある。

 さらに近年では、複数の企業が連携して取り組むアップサイクル型の商品開発も視野に入れている。たとえば、食品工場で発生するおからなどの副産物を活用し、それを原料とした新たな食品商品を開発・販売するプロジェクトの構想があり、折兼が異業種の企業同士を引き合わせる可能性を模索している。梅澤氏は「SDGsの観点から新たな価値を創出する取り組みを今後さらに広げていきたい」と意欲を示す。

 

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取材

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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